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ゲームマーケット2024春:10歳さら作【大行列】の話

こんにちは、モノビーズと申します。
10歳の娘、さらがゲームを作っています。
ゲームマーケットには2023春から出展しています。
3回目の出展、2024春の新作として、
ミープルの山崩し+セットコレクション「大行列」を頒布しました。
多くの媒体や事前試遊会で高い評価を頂き、ゲムマ当日は開始2時間で完売しました。
たくさんの方に遊んで頂いています。ありがとうございます!

10歳(開発時9歳)の小学生さらが、どうやって作ったのか、
書き留めておきたいと思います。(とても長いです!すみません)


さらについて

10歳の小学5年生。身長体重は小学1年サイズです。
漢字が得意で漢検4級。バドミントンとピアノを習っています。
そしてとにかくボドゲが好きです。

今までにハマったタイトル、ほんの一部です。
にじいろのへび、ドブル、ハッピーサーモン、ウボンゴ、ナインタイル、
トマトマト、イチゴリラ、おばけキャッチ、ぴっぐ10、ナルハヤのつるぎ、エスカレーション、ito、ストライク、ディクシット、ドメモ、犯人は踊る、なげなげブリトー、ウミガメのスープ、キューバーズ、ラブレター、
ザ・ゲーム、くだものあつめ、ハピエストタウン、カルカソンヌ、
キャンバス、ワーリングウィッチクラフト、天下鳴動

ゲムマ出展のきっかけ

2023春に「ピスタワード」「マーブルワード」
2023秋に「カザリマスツリー」を制作、ゲムマで頒布しました。

ボドゲを作り始めた経緯や、ゲムマに初出展したピスタワードについては
下記にまとめています。

突然のテストプレイ禁止令

「大行列」の話ですが、始まりはだいぶ前にさかのぼります。
「ピスタワード」を作っていたのは小学3年生(2022年)でした。
そのときの先生は、毎日休み時間にテストプレイをやらせてくれたので
友達の意見を聞いて調整しながら
「ピスタワード」「マーブルワード」は完成しました。
ゲムマ出展の2023春を迎えたときには4年生になっていたため、
クラスも担任も変わっていました。

その新学期に突然、

「自分で作ったゲームでも、学校に持ってくるのは禁止」

というルールが制定されました。

前年にクラス中の協力を得て完成した「ピスタワード」は
横浜市のタウンニュースの記事にも取り上げられたのですが、
このルールにより、学校でみんなに見せることが叶いませんでした。
納得できなかったさらは先生に直談判しましたが、はっきりした説明はもらえず、禁止令が覆ることもありませんでした。

当時すでに考え始めていたゲムマ秋の新作「ピスタツリー」も
学校でのテストプレイが急にできなくなったため、進捗がパッタリ止まってしまいました。

「カザリマスツリー」ができるまで

大量にあるピスタチオの殻を使い木を飾るゲームを考えていました

学校に持っていけなくなったので、家族を相手にしたり、
家に来た友達にテストしてもらったりしましたが、
ほとんどさらが1人で回して考えていたため、ルールがどんどん複雑化していきました。

やがて「ピスタツリー」はゲムマ秋の開催日12月に合わせて
クリスマスツリーを飾る「カザリマスツリー」に変わります。
かなり作り込んでからテストプレイ会にも参加しましたが、
結構難しいという意見を頂き、ゲムマぎりぎりまで調整を続けることになりました。

ハガキサイズでゲムマチャレンジ作品でもありました


テストプレイの重要性

このときに、ピスタワードで初期の段階からやっていた学校でのテストプレイが、作品づくりに重要な役割を果たしていたことに気づきました。

子どもたちからは、具体的な意見ではないものの、
「難しい」「意味がわからなかった」「1人だけ強くてつまんない」
「(黙ってやめてしまう)」など、正直な感想が上がってきます。

その都度さらは、
「どこが難しいのか?」
「どこが分からなかったのか?」
「どうしてつまらないのか?」
と感想から問題点を探って、具体的な改善策に変換していたのだと思います。

その機会が失われて煮詰まるさらを見つつ、ボドゲ制作経験が皆無の私は、どう手助けすればいいか分からず困っていました。
それをゲムマ秋でベテランクリエイターの方々に相談したところ、
皆さん一様に、
「とにかくテストプレイ会にたくさん行くべき」と助言してくれました。

意見と調整の繰り返し

ゲムマ秋が終わる前に、2024春の出展申し込みをしていたので
すでに新作「ミープルの山崩し」の構想はありました。
当初は十色のミープルを使っていたので「十人十色」というタイトルで、
行列ではなく、ビンゴのようなシートを使って、縦横斜めで列を揃える形で作っていました。
色の組み合わせで作る役の名前は英語にしたいと言うので、私が一緒に考えました。
家に遊びに来てテストしたさらの友達には概ね好評でしたが、
ゲムマでのアドバイスを受け、今回は早い段階からたくさんのテストプレイ会に行こうとさらと話し合い、
私だけでも行ける機会があれば参加して、テスト回数を増やすことにしました。

並ぶルールに変えたばかりの初期のモック

その後、都内、横浜のいろいろな会に参加し、大人子ども含めて
3カ月弱でのべ50人以上にテストしてもらいました。
その都度、思いもよらなかった意見やアイデアを頂いて、
さらはそれを基に調整し、またテストプレイ会に持ち込むことを繰り返しました。

パッケージとアートワーク

これは小学生の手には余るので、母の担当です。
ゲームが将棋崩しなので、山を作るために箱自体がコンポーネントになります。
将棋の駒箱のような正方形の箱をいろいろ探しましたが
プラスチックはコストの問題で難しく、
化粧箱の既製サイズは高さが足りなかったり、内容物が入りきらなかったので、オーダーで作ることにしました。
他のサークルさんにも相談に乗っていただきながら
パッケージ会社と強度や加工について相談を重ね、オリジナルサイズの貼り箱をお願いしました。

内容物のカードも、箱に合わせると名刺サイズでは入りきらないので
印刷会社の規格サイズや価格を比較し、
2つ折りで正方形になるカードを印刷してくれるところを探しました。

この時点でまだルールが完成していなかったので
コンポーネントも確定せず、日々やきもきしていたのを思い出します。

山を作るのに申し分ない強度になりました(パッケージ:ムーブ様)


ルールの引き算

テストプレイを繰り返す中で、もらった意見がどれも捨てがたく
あれもこれもと詰め込みすぎてしまい、
ルールが定まらない上にまたしてもどんどん複雑化していました。
そんなとき、後期にテストしてくれたデザイナーさんに
「これからは引き算をしていくほうがいいよ」と助言されます。

「テストプレイの意見は全部取り入れる必要ないんだよ。
 さらちゃんがいいと思ったものだけ入れれば良いんだよ」

このお話がさらにとっての転換点になったようでした。
確かに私がまとめていた説明書も、最初のシンプルなルールに追記をしすぎ、膨大なテキスト量になっていました。
テストプレイでのインストもどんどん長くなり
「かんたんそうなのに覚えることが多い」という意見を頂いたこともありました。

一度入れたルールをなくすことは、ルールを追加するより難しかったようですが、
「複雑だと子どもも遊べなくなるから」と、とにかく減らす調整を繰り返していました。この頃はよく渋い顔をしていました。

ルールを追加して複雑にしていた頃は、サマリーも作っていました

ブラッシュアップと完成

苦労の甲斐あって、ルールは削ぎ落とされてどんどんシンプルになり、
父、母、兄と毎日いろんなパターンをテストしましたが、
家庭内ではシンプルなほうが面白くなったと満場一致でした。
その後のテストプレイ会でも好評を頂き、3月中旬になってようやく、
ルールとコンポーネントが確定しました。
印刷物も一気に手配ができました。

今思えば、先生にテストプレイを禁止されていなかったら、
「大行列」は以前と同じように、学校内でのテストプレイだけで完結していたかもしれません。

さらと「大行列」というゲームにとって、
実際の作り手であるデザイナーさんたちの意見でブラッシュアップできたことが、短期間での成長に繋がったのではないかと思います。

子ども扱いせず、真剣に向き合って、的確な意見を言ってもらえた経験すべてが、
さらの、そして「大行列」の糧になりました。本当に感謝しています。

完成した大行列

試遊会とゲムマ本番

こうして多くの方の手によって磨かれた「大行列」は、
ゲムマのプレイベント、ボードゲームトライ!やフォアシュピールで
たくさんの方に試遊して頂きました。
フォアシュピアクション、マーマンAsobiチャンネル様、ビビっとゲムマ、TGIW注目の新作、アフター6ジャンクションなどたくさんの媒体で取り上げて頂きました。


フォアシュピアクションで1位を頂いてからは、予約数が一気に10倍近くなり、当日分も含めあっという間に完売しました。
予約に海外の方もいたので、かんたんな英語ルールを用意したため、外国から来た方にもたくさんご購入頂きました。
フリースペースで遊んでいるのを見て買いに来ました!という方がいたのも嬉しかったです。
さらの頑張りが詰まった「大行列」を皆さまに評価して頂いたこと、
感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

相変わらず手作り感あふれるブース


ゲーム作りで一番楽しい時

先日「ゲームを作っていて一番楽しいときは?」と質問されたさらは

「考えてるとき。
 意見をもらって、悪いところを直して面白くするときが楽しい」

と答えました。

昨年は「自分のゲームを遊んでもらって、楽しいと言ってもらったとき」と言っていたので、
この1年で、テストプレイの大切さを実感したからこその答えなのだと思います。
もしこれからゲームを作って、ゲームマーケットの出展に挑戦したいという方がいたら、是非たくさんのテストプレイ会に参加してください!

告知など(再販・ゲムマ秋新作)

大変お待たせしましたが、「大行列」は5月23日より再販いたします。
BOOTH様、イエローサブマリン様、JELLY JELLY STORE様、ボドゲーマ様で
順次お買い求め頂けるようになりますので、よろしくお願いします。

また、秋に向けての新作は、
スキー場のゲレンデマップを舞台にしたすごろく系エリアマジョリティ
「雪山王 スベルンダー1世」です。
こちらもテストプレイ会にたくさん参加しますのでよろしくお願いします。
テストにご協力してくださる方がいたら、是非お声がけください!

実在のスキー場の許諾を得ています


最後に

フォアシュピールやゲムマでは、さらは自分のブースそっちのけで
他のブースに遊びに行き、試遊に夢中になっていました。
テストプレイ会を重ねたおかげで、
ブースにもお客さんにも面識ある方がたくさん。
歩けば「さらちゃん!」と声をかけてもらい、手を振り返すさら。
広いビッグサイトを自由に泳ぎ回る姿はとても楽しそうです。
本当にボドゲが好きなんだと思います。
作ることも、遊ぶことも。
私たち家族は、これからもさらの「好き」と「頑張り」を支えていきます。
どうか温かく見守って頂けたら幸いです。

長文お読み頂きありがとうございました。

次回、また幕張でお会いできますように!

モノビーズ

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