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広報担当者が会社を作る

お詫び会見や説明会、会社の広報担当者、当然経営者は、対外的に説明を求められる機会が多く、やり方や報道機関との接し方を間違えると、せっかくの機会がダメになってしまいます。

第一回目は、新任広報担当や若手広報担当に必要な基礎知識を紹介します。


新任広報担当、若手広報担当に最低限必要な8メソッド

1.広告宣伝と広報の違い
2.プレスリリースの書き方
3.情報の精査とコントロール・インテリジェンスが重要
4.商材やサービスに応じて、対応すべきメディアが異なる
5.報道発表(プレスリリース)の配信、配布とコミュニケーション
6.取材時の留意点
7.広報担当者の心構え
8.広報に最低限必要なドキュメント様式

1.広告宣伝と広報の違い
  広告宣伝と広報の違いは、一口で言うと、費用を媒体にかけるかかけないかです。
広告宣伝は、数十万から数百万、全国紙やTVCMであれば、数千万単位をかけて、クリエイティブを制作し、媒体(TV、雑誌、オンライン、新聞等)に掲載費用をかけて、自社の商品やサービスを紹介してもらうことです。
これは、資本力の大きい企業や一気に認知を取るため、ブランド力を浸透させるためにとる手法です。大手飲料メーカーや自動車メーカーをはじめ、携帯電話会社など、年間数十億を広告宣伝に投下している企業もありますが、日本の企業の約9割が中小企業であることを考えると、そこまで、広告宣伝に費用を投下できないのではないでしょうか?

 一方、広報は、情報やネットワークを活用して費用をほとんどかけずに、ニュース番組や記事として掲載してもらうことで、認知と理解度を高めることが可能といえます。
特に、商材やサービス内容によって、番組やコミュニケーションをとる記者を間違わなければ、掲載される可能性が高く、広報担当者のスキルによって、掲載される企業とそうでない企業が分かれることがしばしばあります。

最近では、インフルエンサーを使った手法やステルスマーケティングといった、炎上の可能性がある手法も広告宣伝で取り入れられる傾向にあり、費用をかけたといっても、それが良い方向に転がることが難しいビジネス環境になってきました。

インフルエンサーを利用する場合、広告宣伝だけではなく、広報の知見やスキルなども今後ますます重要になってくるでしょう。

2.プレスリリースの書き方
  広報担当者にとって、日々の業務で一番親しみやすいのは、プレスリリースではないでしょうか?プレスリリースとはいっても、実は、書き方や見せ方により、掲載の可能性が高まることができます。よく、掲載されるプレスリリースの書き方や興味を引くプレスリリースといったことを聞かれますが、原則を抑えていれば、奇をてらったプレスリリースではなく、オーソドックスなプレスリリースの基礎を抑えていれば、それほどテクニックを使う必要はありません。

特に最近見られる、修飾語が多彩に散りばめられたプレスリリースや企業の熱意を書いたものなど、報道機関から見ればプレスリリースとは言えないものが数多く配信、配布されています。

プレスリリースの原則は、最低でも以下の5つのポイントを抑えていることが重要です。

1)事実関係に基づいた簡潔な記述
2)数値やデータに基づいた根拠ある記述
3)修飾語は極力外した記述
4)商品、サービスに評価は報道機関を通じた読み手が判断する
5)タイトルの工夫と見せ方

報道機関の方と話をすると、最近のプレスリリースは何を書いているかわからない、企業の思いはわかるが、プレスリリースではなく、商品説明やマーケティングの文章のようで、読むに堪えないといったお話を聞きます。
TVの制作会社向けの文章や情報番組向けの文章は別として、プレスリリースには、簡潔で事実関係も基づいた表現が最低限必要になることを覚えておきましょう。

 報道機関にとって、読みやすく広報担当者のスキルがわかるプレスリリースは、タイトルがそのまま、報道機関の見出しになること。プレスリリースのリード文が、原稿のリード文にそのまま使えること、そして、本文には、その商品やサービスの特徴がそのまま流用できることであるといいます。
また、世界最小とか日本初といったその商品やサービスを一言で表現できる見せ方が重要であるといいます。その一方で、日本初や世界最小といった表現は、これまでの同商品やサービス比較を広報担当者として調査の上、表記することが重要になります。
特に最近のプレスリリースで見受けられる表現として、画期的とか革新的といった修飾語を多用している文章がありますが、画期的や革新的を判断するのは、企業ではなく、それを使った消費者やユーザーであり、プレスリリースにはふさわしくありません。記者の表現として使用することはありますが、プレスリリース上で、表現することは、避けた方がよいでしょう。

※ 以下のファイルは、ご参考までにリリース作成や報道機関とのやり取りに必要なチェックリスト(簡易版)です。

チェックリスト(簡易版)

3.情報の精査とコントロール・インテリジェンスが重要
  広報担当者にとって、プレスリリースをはじめ、報道機関からの問い合わせなど、様々な業務に対応していかないといけません。
  そんな時に、重要となってくるのが、情報の精査とその情報のコントロールです。スキルの高い広報担当者は、単なる情報の扱いだけではなく、情報のコントロールに優れており、さらにその情報を利用したインテリジェンスにたけている方が多いといえます。
新商品、サービスの情報であれば、情報精査とコントロールさえ身に着けていれば、ある程度、広報担当者として認められますが、リスク発生時や事件事故の対応など、自社にとってネガティブな局面に陥ったときに、情報の精査やコントロールだけではなく、広報担当者にはインテリジェンスが特に求められます。
危機発生時のスキルについては、別のコラムで説明しますが、平常時からインテリジェンスを意識した広報業務を行うことが重要になります。

例えば、報道機関から先ほどリリースした新商品やサービスに問題はありませんか?といった問い合わせがあった場合、インテリジェンスを意識しない対応の場合は、

1)関係部門に確認を取る
2)確認して問題がないと報告を受けた
3)報道機関に対して、「お問い合わせいただいた内容について、問題はありません」と回答する。

これが、一連の流れになると思います。その一方で、インテリジェンスを意識した広報担当者の場合、1)から2)までは、同様に行ったうえで、支店などに確認し、状況を精査し、またそれ以外の可能性について、同時並行に情報を集め、3)の対応になることになります。

ポイントは、1)の報告が現場から遅れている可能性をつぶし、問題が起こっていないという、セカンドオピニオンを収集し、報道機関に回答することが可能となります。

広報担当者として、最悪のシナリオも想定に入れてインテリジェンスを磨くことが、広報担当者として、スキルアップにつながり、報道機関からの質問や問い合わせに対して、精度の高い回答を行うことができるようになります。

これを繰り返していくことで、報道機関から信頼される広報担当者として、認知される足掛かりになっていくでしょう。

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