一日

脚本のお仕事をさせてもらうようになってから、あるいは、個人事業主として働くようになってから、「平日/休日」の概念があまりなくなりました。

書くものがあれば、打ち合わせがあれば、その日は「働く日」になるし、書くものが落ち着いていて打ち合わせもなければその日は「なにもない日」になります。ただ、ありがたいことに書くものが途切れることはなかなかないので、その意味で「なにもない日」はあまりないことになります。

とはいえ、根がおさぼりな人なので、決して「毎日10時間働いてます!」みたいなことにはならず、なんとなく毎日数時間、ちょこちょこ書いたりなんだりをする日々です。

昔はとにかく「休日」が好きな子供でした。別にどこに連れて行ってもらうわけでもないのですが、朝、家族の誰よりも早く起きて、テレビでやっている『ポンキッキーズ』とかを一人で見て、皆が起きてきたら一緒に朝ご飯食べて、そこから何もしなくていい、という開放感が本当に好きでした。何もないぽっかりとした空間にぽんと投げ出される感覚というか。

それでいうと、今、過ごしている日々はあの小さい頃の「休日」に似ているなと思います。朝起きて、書くものだけがそこにあって。でも書くことは茫洋としていて、座って手を動かすまで、そこに何が立ち上がるかは正確にはわかりません。ぽっかりとした空間にぽんと投げ出された僕は、安いコーヒーを淹れて、先の丸い鉛筆を触りながら、目の前の会話や風景に思いを馳せます。

気づけば外はうっすらと暗くなっていて。一日が終わることに気づきます。そこに平日/休日の区切りは一切なくて。ただ、一日が終わる感じがするんです。そしてそれは、僕にとってとても幸せなことです。

一日がはじまって、一日が終わる。

そのくるくるとループしている時間の不思議を味わえるようになってから、生きるのが少しだけ楽しくなりました。相変わらず国民年金とか、確定申告とか、そういうものはすごく苦手だけど、それでも自分は、一日だけが目の前にある今の生き方が好きなんだろうなあ、と思ってます。

今日も一日がはじまっています。

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