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防染糊の材料と作り方

 藍染印半纏の柄、模様、くっきりした柄を出すための材料の一つに「防染糊」があります。
いまは防染糊を染色材料屋で購入できますが、今でも染物屋で独自に作っているところもあります。相澤染工場も同様です。
お店によって作り方や細かい材料はそれぞれ。
防染糊の材料や作り方を紹介したいと思います。

藍染の防染糊以外の模様をつける染め方

・ろうけつ
 ろうを使って染まらないところを作ります。
・抜染
 染めた後に色が抜ける材料が入った糊を生地にのせます。
他には、縫う・縛る(絞り)、板で絞めるといった道具を使った模様のつけ方があります。

防染糊の材料

主な材料はこの3種類です。

・糠
糠にも種類があります。
「赤糠」「脱脂糠」、染料材料屋では「小紋糠」という名称もみかけます。
地域、売り先によって糠の種類、特徴が違うと思われます。
・糯粉
大きく国産と外国産でわけられます。
・石灰
少量入れます。

防染糊の作り方


 まずは「きのり」を作ります。
糯粉、糠、石灰をこねて団子を作り、蒸すorゆでます。
蒸すorゆでたものを練り上げます。
相澤染工場ではゆでています。このきのりの段階では糯粉の割合を多くしていて、粘りの効いた状態です。
このままではきれいな糊置きができません。
使う直前に糠、石灰、お湯で調整してキレ良く扱いやすい状態にします。
蒸すorゆでの段階で既に使える配合にしているところもあるようです。

防染糊の配合の違い

 染め方、模様のつけ方で防染糊の配合(固さやキレの良さなど)を変えて使用します。
傾向の一例として、
藍染は浸染を繰り返すので引き染めなどに比べて、生地に食い込みの良い(強い)配合になります。
筒描きや型染で糊を置く場合の防染糊は、
細かい模様は切れが良く流動性の良い配合にします。
→柄が鮮明に出る。割れ起こりやすい(細かいので割れづらい)
暖簾や代紋など大きい柄の場合、ねばりの効いた配合にします。
→割れづらい。柄がつぶれやすい(細かい柄の場合に目立つ)
このあたりのバランスを整えて防染糊を作ります。

自社で防染糊を作るメリット

 冒頭で防染糊は染物屋で独自に作っている書きましたが、
・季節などで防染糊の具合(固さ、割れやすさ)が変わる。
・使い方(技法)で配合が変わる。
加えて藍染印半纏に関して、
・各工程間に入る天日干し=防染糊の割れのリスク
・浸染の繰り返し=染色中の防染糊の溶け落ちのリスク
があるので、その都度配合の調整をします。
調整の時、原料から扱っていたほうが対応しやすくなります。

おがくずについて(番外編)

 糊置きで防染糊以外に必ず使う材料がおがくず(木くず)です。
糊置きをした後に、防染糊にかけます。
理由は、
・生地の他の部分を汚すのを防ぐ
・乾燥時、防染糊のヒビ割れを防ぐ
です。
相澤染工場では、おがくずをつくる会社から仕入れています。
木の種類、細かさなどでかなり細かく種類がわけられています。
その中で使い勝手の良いものを選んでいますが、染色用以外の用途は研磨で多く使われるそうです。

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