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蜃気楼大学ー2023.


みんなで行った、
岡本太郎展の帰りだった。
10月の終わりの上野公園のカフェ。
風に吹かれていたら、
小さな声で橘川さんが言った。

「俺思いついちゃったんだよ。
今度はな。蜃気楼大学」

傍に座る、久恒さんことつねちゃんをみて「久恒さんは、学長な」

と続ける。

橘川さんの思いつきに、
常々振り回されているつねちゃんは、
素知らぬふりで、

その場にいたおこちゃんも、
青海エイミーさんも黙っていた。みんな「蜃気楼大学」がなんだかわからないのだ。


橘川さんと一緒にいると、よくこういう、
なんとも言いようのない気持ちになる。

それから3ヶ月半。


驚くほどの速さで「蜃気楼大学」は姿を現した。
場所は八王子の大学セミナーハウス。参加型社会学会の設立記念イベントである。

わたしは深呼吸ゼミ生として、翌日10時からの、山手國弘「地球の全宇宙的アウェアネス」上映会を担当するため、前日夜9時にセミナーハウス入りした。


1.出現前夜


行ってみるとそこは修羅場だった。いろいろな手違いが表面化して蒼白な、ボランティア統括のぽっくるや、モモちゃんを横目にみながら、

こっしーの指示で橘川幸夫さんの、明日出版記念パーティーをする本の、最初の20ページのコピーを製本する。同じく前夜入りのゆっきーや初対面のそねさんと一緒に黙々と製本作業に取り組んだ。(これね↓本はまだできてないそうだ)



ぽっくるちゃんの狭い部屋で、8人くらいで深夜まで作業。それを見ていた田原さんが、「大きなイベントの陰に、こういう作業が隠れていることを忘れちゃいけないんだよ」と自分に言い聞かせ るように、何度もうなずいていた。



翌日は快晴。三十数名の講師と、200名のリアル&オンラインの生徒が一堂に介し、1日だけの、フェス形式の「大学」を堪能する。


2.出現する蜃気楼大学

ぽっくるちゃんは、頭を爆発させながらボランティアさんを指揮して見事な采配を見せ、全体を仕切る田原さんは憔悴した面持ちで、目だけキラキラさせていた。田原さんに「寝ました?大変じゃないですか?」と聞くと「単純にね、橘川さんの喜ぶ顔が見てみたいんだよね」と言って笑っている。

私は、山手映画が無事上映できるかどうかで、頭がいっぱい。
WS仲間のゆっきーや、ボランティアのつじいさん親子に、さすらいの仏師まのさんを捕まえて、なんとかことなきを得る。


その後、ソニーの魂を結集して作られた、MUSUBIの「窓」にドキドキしたり、
「ティール組織」の解説者であり日本での第一人者である嘉村賢州さんの話を聞いたり、


ブースでシン自己組織化WSのみんなと、オンライン&リアルでハイブリット対話会をしたり、




サクサクさんのブースで遊んでもらったり、エイミーさんの占いを受けようとして挫折したり、ワクワク循環ラボで、山手國弘愛を語ったり、大興奮している間にあっという間に1日が終わってしまった。



それにしても今回の、蜃気楼大学の、
その講義目録の、なんと豪華なことだろう。
リアル「窓」による有機的な(気配)を感じられるデモンストレーションをはじめ、橘川さんと田口ランディさんの対談、
教育フェス、シンガポールの教育改革について。ご近所メタバースの話や、とにかく全部聞きたい素晴らしさ!
3千円の参加費で、2000円相当の本が2冊ももらえたり、見切れなかった講義は、録画で追いかけられると言う贅沢ぶりもすごい。



目線はすでに「未来」に向かっている。



3.今ここにつくられた、未来


橘川さんは学生運動華やかな大学生の頃、「こんな大学じゃダメだ」と担当教授に叫んだところ、「じゃあどういう大学ならいいんだ」と聞かれて
答えられず、ずっとその答えを探していたという。


蜃気楼大学は、橘川さんの、学生時代のその問いに対する答えだ。箱はいらない。1日だけの、蜃気楼のような大学。はかなく、でも確かに存在している。


大学の問題に関わってみて、今の日本の大学の、どこがどう駄目かということには詳しくなった。
しかしいくら今を批判しても、何も変わらなかった。


批判には興味がない。という橘川さんに言わせると蜃気楼大学は、「時代の先見性を体現している人」「地域や未来にこだわって未来を探っている人」を講師として学ぶ講義フェス&講義フリマなのだそうだ。


どこでも、どんなふうにでも私たちは学ぶことができるし、つながりながら別の明日を作っていくことができる。

この「蜃気楼大学」そのものが、私たちの可能性を体現している。

八王子セミナーハウスの建物が本当におもしろく、異世界感が半端ない。このシチュエーションもまた、盛り上がる気持ちを加速したのだろう。近未来のような廃墟のような、アートフルで危うい均衡。今この時代に、未来を夢見る場所として、これほどふさわしい場所があるだろうか。



続いてゆく夢が、いつかリアルになっていくように、祈るように会場を後にした。




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