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障害者手帳

■ 障害者手帳の種類

 一般的に「障害者手帳」とされるものには、3種類があります。

 ・ 身体障害者手帳
 ・ 療育手帳
 ・ 精神障害者保健福祉手帳

 このうち「療育手帳」は「知的障害者」に対して交付されるものです。手帳の名前が「知的障害」となっていないのは何らかの「配慮」なのかな、と思うのですが、だったら「知的障害(者)」という言葉を「お得意」の「言い換え」で変えてしまえばいいのに、とも思いますが。

 神経発達症(発達障害)については、本来は「精神障害者保健福祉手帳」の対象です。
 しかし、歴史的経緯もあってか「知的な遅れを伴う発達障害」は「療育手帳」の対象にされています。現在のように「発達障害」への認知度が高くなかった時代には「自閉症などの発達障害」とされる人の多くに「知的な遅れ」が見られる、とされていたこともあるのでしょう。
 現在でも「発達障害」の特性によって、知的な発達に凸凹が生じることによって検査結果が「低く」出ることも少なくなく、また自治体によっては「自閉症などの診断があれば療育手帳の交付基準を調整(閾値を高く)する」こともあるので、かなり幅広く「療育手帳」が交付される可能性があります。

 神奈川県は、全国的に見ても「発達障害児への療育手帳交付」について、かなり緩和している存在です。
 それでもIQが一定(概ね91程度と言われています)を超えてしまうと「非該当」になってしまいます。

 療育手帳の申請に伴う検査は、児童相談所(18歳以上は知的障害者更生相談所)で行うのが原則ですが、横浜市の場合には、地域療育センターや特別支援教育総合センター(特総)での判定結果で「読み替え」できる場合があります(半年とか1年以内とかの条件がありますので、必要な場合は確認してください)。
 なので、このような機関で「IQ91以下」の検査結果が出た場合には「療育手帳」申請のチャンスかも知れません(児相だと「一発勝負」な面も否定できませんので)。

 尤も、いつ検査しても100以上になる、というような場合には、残念ながら療育手帳には該当しないことになりそうです。
 しかし、その障害があることによって、日常生活や就労に支障が生じているようであれば「精神障害者保健福祉手帳」の交付申請は可能です(初診から6か月以上などの条件はあります)。
 前述したように「発達障害」は「精神障害者保健福祉手帳」の対象ですので。

 ただし「精神障害者保健福祉手帳」の場合、2年ごとに「更新」があり、そのたびに医療機関で数千円はかかる「診断書」を書いてもらう必要があります。
 また、療育手帳や身体障害者手帳に較べると、受けられるサービスが少ない気がします。ですが、税控除や「障害者枠」での就労(障害種別によっての差があることもありますが)については対象になりますし、最近では航空運賃などを筆頭に「障害者割引」が適用されるものも増えています。

 「精神障害者……」という「名称」に対して抵抗を感じる人も(前述した「知的障害」という言葉と同様に)少なくないとは思うのですが、手帳の表紙などには「障害者手帳」とだけ表記されるなど、多少の「配慮」はされています。

 個人的には、同じ「発達障害」なのに、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳という、別の種類の手帳になってしまうこと自体が変だとは思っています。
 そして、療育手帳については、実は他の2手帳と異なり「根拠法令」がありません。
 はるか昔に発出された「療育手帳制度について」(昭和48年厚生事務次官通知)によって始まったものの、地方分権の流れの中で、その通知は「技術的助言」に過ぎなくなり、各自治体がそれぞれの要綱等によって交付している扱いです。
 そのため基準も色々と違ってきて、神奈川県内のように「自閉症などの診断があればIQ91以下まで交付対象」という所もありますし、「軽度知的障害」の「上限IQ値」が、自治体によって70だったり75だったりします。
 何だかすごく「いい加減」に扱われている気がします。

 そもそも身体障害者手帳は「法定+福祉」、療育手帳は「法外+福祉」そして精神障害者保健福祉手帳は「法定+保健(身体と知的は福祉事務所の所管だが精神は保健所という扱い)」という建付けになっているため、色々な「不整合」が起きている、ということだと思っています。
 また、「表記」について配慮したとしても、制度を知っている人が見れば障害の種別は一目瞭然です。そして、多くの都道府県や政令市(一部の中核市)で、障害種別によって「表紙」の色が違っていますので、色だけで障害種別が判ってしまいます。
 そのため、一部の道府県などでは、全ての「障害者手帳」の表紙の色を同じにして、表紙の表記も「障害(がい)者手帳」に統一した例もあるようです。

■ 療育手帳

 息子が4歳(年中)の頃、地域療育センターのワーカーさんから、療育手帳(愛の手帳)を取っては、と勧められ、検査を受けてみました。
 ところがたまたま検査の担当が「若いお姉さん」だったためか、いつも以上に張り切ってしまい(まさに「野原しんのすけ」状態)、IQ97で非該当になってしまいました。

 思ったよりも高い数字が出たのは、本来喜ぶべきなのかも知れませんが、複雑な心境になりました。

 横浜市では「療育手帳」のことを「愛の手帳」と呼びます。
 前述したように、基準は神奈川県内で揃えられているようですが、呼称については神奈川県も川崎市も相模原市も「療育手帳」です。
 「愛の手帳」と呼ぶのは、横浜市の他には東京都だけです。
 ただし、障害の程度については、横浜市を含む神奈川県内(更に言えば多くの道府県等)では「A1(最重度)」「A2(重度)」「B1(中度)」「B2(軽度)」と記載されるのに対して、東京都は「1度(最重度)」から「4度(軽度)」と、独特の表記を使用しています。

 他には、埼玉県が「みどりの手帳」(かつてはさいたま市も「みどりの手帳」と称していましたが、現在は単に「療育手帳」」にしたようです)、青森県と名古屋市が「愛護手帳」と呼ぶ事例を確認しています。
 制度として「法律による裏付け」がないためか、名称までバラバラなのが実情のようですし、「障害の程度」の表記も統一されていない状態です。「A1」「A2」「B1」「B2」が「多数派のようではありますが、「A」と「B」の二段階しかないところもあるようです(ただし前出の「厚生事務次官通知」では「A」「B」二段階を基本にしていて自治体が「細分化」できる、という規定です)。

 全然違う話ですが、「A1」「A2」「B1」「B2」って、「4スタンス理論」と同じです。
 検索すると出て来ると思いますが、ゴルフなどのスポーツで取り入れられることのある「身体のつくりのタイプ」に関する理論です。

 結果として、この時は「愛の手帳」の交付に繋がらなかったのですが、その後、小学校入学前の就学前相談の際に「特別支援学校」「特別支援学級」「通級指導教室(+一般学級)」「一般学級(のみ)」の「判定」のために検査を受けた際、IQ85程度という結果が出ています。
 この就学前相談や検査を実施した「横浜市特別支援教育総合センター」や、横浜市内の各地域療育センターでの検査結果は、本来は児童相談所で実施する検査に代えることができる規定になっているので、ここで「愛の手帳」を申請すれば交付されただろうと思います(東京都などの基準では「非該当」になりますが)。
 しかし、後述する「身体障害者手帳」を既に交付されていて、それがあれば当面「愛の手帳」が必要な場面がないこと、仮に交付されても、何度か「再判定」を受けなければならないこともあり、見送ることにしました。

 もし「愛の手帳」が必要、という場面があれば、そこでまた受ければいい、という結論になりました。
 実際にそれは、中学卒業後の進路を考える際に「再浮上」することになるのですが、それまで9年間、そのままということになります。

■ 発達障害に関する「療育手帳」の交付について

 既に述べたように、神奈川県と県内の政令指定都市である横浜市・川崎市・相模原市では、IQが75を超えていたとしても、「広汎性発達障害(神経発達症)」「自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)」など「自閉症」系の診断が付けば、「療育手帳」(横浜市では「愛の手帳」)の交付対象となり得ますが、それでもIQ91という(と言われる)「上限」が設定されています。
 また、実際の交付に当たっては、生活上の困難の度合いも勘案することになっていますが、これはIQ91以下でも「困難の度合いが高くない」という判断で「非該当」となることはあっても、IQ91を超えて交付の対象となることはないようです。
 しかしながら、全国的に見た場合には、これは極めて「例外的」な運用であり、例えば東京都ではIQ75を超えると、一律で「非該当」になるようであることは既述のとおりです。
 またこれも既述ですが、道府県等によっては、これがIQ70で設定されているところさえあり、そう考えると神奈川県はかなり条件を「緩和」していると言えます。

 これと同等以上の「緩和」がある例として、筆者が知る限りでは、兵庫県(政令市である神戸市を除く)くらいしかないようです。
 兵庫県では、神奈川県内のように、特に「IQ91」などと「線引き」していないようですが、「知的障害を伴わないが、発達障害と診断され、かつ自他の意思の交換及び環境への適応が困難である等により療育又は日常生活上の支援が必要と認めた人にも療育手帳(B(2))を交付しています」(兵庫県HP)としているようです。
 真偽のほどは定かではありませんが、IQ100を超えても交付された、という記事を目にした記憶もあります(個人的には、かなり懐疑的に感じておりますが)。
 ここまで自治体による「差」があるのもいかがなものか、と思います。厚生労働省には、早急に法制化するなり「発達障害」に特化した「手帳」制度を創設するなりの対応をしてもらいたいものです。

■ 身体障害者手帳

 その後、「愛の手帳」の基準を満たさなかったことを聞いた「分室」のワーカーさんから、身体障害者手帳には該当しないのか、と訊かれました。
 この先の進学や就職を考えると、何らかの「障害者手帳」を持っておいたほうが、色々と便利なことや有利になることもあるだろうから、ということでした。

 そこで「県立こども医療センター」に相談し、内部障害の「第1種・3級」で交付されました。

 療育センター分室の同じクラスの子から「何で手帳の色が違うの?」と訊かれたこともあります。これを、未就学かつ療育センターに通うような子に説明するのは難しいですね。
 そもそも、本人たち自身が、何故自分が「愛の手帳」を持っているか、を自覚したり理解できているかもわかりません。いずれ、小学校以降に特別支援学級などに入れば、何となく解るのかも知れませんが。
 そこで「(息子は)ここ(療育センター)に来ている(ので療育手帳をもらえる可能性がある)けど、ちょっと身体にも不自由なところがあるから、違う色の手帳をもらっているんだよ」といったような話をしたと記憶しています。

 当事者の子供達にとっては、「手帳」がある種のアイデンティティになっているようで(文字通りに読めば確かにそうなのですが)、手帳に対する「こだわり」を感じることもあります。
 何より、人によってはかなり幼少の頃から持つ「公的機関が発行する写真入りの身分証明書」になります(「マイナンバーカード」の立場がありませんね……)。
 中には「警察手帳」のように示す子もいたりしました。「刑事ごっこ」でもしていたのかも知れません。

 療育センターの同じクラスの保護者の中には、「手帳」が使える(活用できたり、何かが割引になったりする)かどうかわからないことが意外と多いので、何かあれば「とりあえず『手帳』を出して、『これ使えますか?』と訊いてみる」という人が少なからずいました。間違いではないと思います。
 実際、結構色々な施設で、割引が受けられます。公的な施設だと、本人と介助者(同伴者)2名まで無料、などというところも少なくありません。

 勿論、障害があるからといって必ず「障害者手帳」を取らなければならない訳ではありません。それは「こども医療センター」の話でも触れたとおりです。
 「障害者手帳」を持っていたとしても、それを提示して利用するかどうかも、その都度の本人の自由です。

 ですが、特に「療育手帳(愛の手帳)」については、成人してから取るのは、かなり大変です。
 18歳未満であれば、現に「一定以上(概ねIQ70以下または75以下、神奈川県では自閉症系の診断名が付けばIQ91以下)の知的障害が伴えば」交付されますが、大人になってからでは、18歳以前から(生まれつきないし幼少の頃から)「知的な障害」があったこと、を疎明する必要があるからです。必要な資料として「小学校の成績表」などが挙げられており、なかなか大変そうです。
 そのため、特に「療育手帳」については、「取れる可能性があって、迷っているのなら取っておいたほうがいい」と思います。
 既に述べたように、持っていても、提示するかどうかは自由ですので、「障害者」であることを言いたくなければ、出さなければいいだけなのです。出さなければならない時だけ、使えばいいのです。
 そのため、あとは、本人や家族の「気持ち」次第だと思います。

■ 「障害の程度」

 既に触れたとおり「療育手帳」の場合、発端となった「厚生事務次官通知」によれば「重度」と「軽度」の2段階が基本です。この2段階の場合には、通常「A(重度)」「B(軽度)」と表示・表記することがほとんどです。
 また、この「重度」と「軽度」はそのまま、後述する「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」(めちゃくちゃ長いので今後は原則「JR運賃減額」と書こうと思います)の「第1種」と「第2種」に対応しています。
 この場合の「重度」と「軽度」の「境界値」は「IQ(知能指数とか発達指数とか色々な表現がありますが概ね同じようなものです)等が『35以下』かどうか」です。「軽度」とされるIQ等の「上限値」は、原則として「70以下」ですが、かなりの割合の自治体で「75以下」として運用されています。
 また既述のとおり、横浜市など神奈川県内では「自閉症などの診断があれば『91以下』まで交付対象とする」という運用をしている例もあります。

 多くの自治体では、これだけではきめ細かな支援が難しいということか、「重度」「軽度」それぞれを「分割」して判定し、療育手帳を交付していますし、前述の「厚生事務次官通知」でもこのような細分化は差し支えないとしています。
 「重度」のうちIQ等「20以下」を「最重度」として「A1(東京都は『1度』)」、それ以外を「A2(2度)」に分割したり、「軽度」のうちIQ等「50以下」を「中度」として「B1(3度)」、それ以外を「B2(4度)」と分割したりしていることがほとんどです。
 「重度」「軽度」のどちらか一方だけを分割している自治体も見受けますし、「A1」と「A2」ではなく「○A(マル囲み)」と「A」だとか、「B1」と「B2」ではなく「B」と「C」という例もあります。ただし、例えば横浜市では「C」は「非該当」を意味しますので、ちょっと紛らわしいです。

 更に、療育手帳の場合には、身体障害が重複する場合に「加算」が行われ、「知的障害の程度」を検査結果よりも一段階重度にする、という運用がされる例もあります。

 「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の場合には、「障害の程度」は基本的に「◯級」と「数字」の等級で示されます。

 「身体障害者手帳」では、障害の種別(部位)により、全ての「級」が設定されていないことも少なくないですが、手帳が交付されるのは「1~6級」と認定された場合です。
 上肢・下肢の障害については「7級」という定義がありますが、「7級」の障害が1つでは手帳の交付対象とはなりません。複数あると「合わせて6級」になり手帳交付されます。

 「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」という厚生労働省の「社会・援護局障害保健福祉部長通知」があって、その中で、

 1級 18
 2級 11
 3級 7
 4級 4
 5級 2
 6級 1
 7級 0.5

という「指数」が定められています。
 例外もありますが、基本的にはこれを「足し算」して、上位級の指数に達したら、その上位の「級」で認定する、というものです。

 例えば「内部4級+上肢5級」だと「4+2」で「6」ですから「3級」の「7」には届かないので「4級」です。
 しかし「下肢3級+内部4級」なら「7+4」で「11」になるので「2級」になります。
 「聴覚2級+内部3級」なら「11+7」で「18」なので「1級」です。
 しかしこれは「身体障害」の範囲内のみです。「知的障害」や「精神障害」と合算するような制度は、現在のところありません(障害年金などでは総合的に判断される可能性はあります)。
 ただし、前述したように、療育手帳については身体障害を加味する運用があることもよく見受けます。

 「療育手帳」や「精神障害者保健福祉手帳」と較べると、「身体障害者手帳」の「障害の程度」を表す「級」は、かなり複雑です。
 これに輪をかけてややこしくしているのが、この項の最初で触れた「JR運賃減額」です。
 身体障害の「部位」によって、これの「第1種」と「第2種」の「境界」が細かく規定されていて、憶え切れるようなものではありません。
 「同じ部位かつ同じ等級」でも「視覚4級」「上肢2級」「下肢3級」などは「第1種」と「第2種」に分かれてしまいます。
 内部障害(1~4級)はほぼ「第1種」ですが、何故か「膀胱直腸障害」だけは「4級」が「第2種」になってしまいます。
 そして、警察署で手続をすると交付を受けられる「駐車禁止除外指定」ですが、これの対象となる「障害の程度」が、「第1種」と「似ているようで違う」のです。こちらでは内部障害は、一律「3級以上」が対象なので、その部分は明確・明解ではあるのですが。

 なお、税法上(その他に「障害者雇用促進法」などでも以下同様です)の「重度障害者」となるのは、「身体障害者手帳」の場合は「2級以上」ですので、「JR運賃減額」の「第1種」よりも範囲が狭くなりそうですが、前述したとおり「上肢2級」の一部は「税法上の『重度障害者』なのにJR運賃減額は『第2種』」という「ねじれ」が生じたりしています。
 これは、税法等では「就労等に際する不利」についての配慮、JR運賃減額では「移動機能」についての配慮、という性格の違いから生じるものかと思われます。

 その点、療育手帳の場合は、前述したように「(最重度・)重度」と「(中度・)軽度」、基本的に「A」か「B」かで「第1種」と「第2種」が分かれますので、わかりやすいです。
 税法上なども「A(重度)」が「重度障害者」ですし、「駐禁除外」も同様に「重度」が対象です。

 「精神障害者保健福祉手帳」については、1~3級に分けられます。
 このうち、税法等の「重度障害者」となるのは「1級」だけです。「駐禁除外」も「1級」だけが対象です。
 「JR運賃減額」については、「精神障害者保健福祉手帳」は対象とされていませんが、近年、JR以外の鉄道会社をはじめ、バスや航空機も含めた公共交通機関で「障害者割引」の対象にする動きが大きくなっています。
 今後、もしかすると「JR運賃減額」も設定される可能性がありますが、この流れから考えると「1級」が「第1種」で、「2級」と「3級」が「第2種」になるのではないかと思われます。

■ 再認定と再判定と更新

 それぞれの「障害者手帳」については「期限」が設定される場合があります。

 「身体障害者手帳」については、原則として「有効期限」がないのですが(そもそも障害の状態が「固定」したという前提で申請する仕組なので)、一部例外的に「再認定」が必要になる場合があります。
 医学的な治療により「障害の程度」に変化が生じる可能性があるような疾患等を原因とする障害の場合や、乳幼児などの「今後の身体的成長によって障害の程度に変化が生じる可能性」がある場合などです。

 息子の場合は、申請時にまだ5歳(未就学)でしたので、「再認定」が必要とされるのが普通だと思っていたのですが(実際に「15条指定医」の「身体障害者診断書」にも「3年後の再認定」を「要」とする「意見」が書かれていました)、「再認定不要」として交付されています。その後の成長により、障害による「不便」は相当に軽減されたのですが、この手帳は文字通り「一生モノ」なので、有難く使わせてもらっています。
 申請した時は、様々な意味で「最も状態が悪かった時期」だったため、想定された中では最も重度の「第1種・3級」で交付されました。税法などにおける「重度障害者」ではないものの「第1種」かつ「駐禁除外」も対象になるので、特に単独では出歩けなかった幼少期には助かりました。
 現在では、一人でどこでも行けますが、泊まりとなると医療処置にまだ若干の不安が残るので、原則として筆者が同行しています。そのため、同行者1名も半額になる「第1種」なのは有難いです。
 そこに「療育手帳(愛の手帳)」の「B2」が加わりましたが、受けられる福祉サービス的なものは、基本的に全て、既に持っている「第1種身体障害者手帳・3級」が「上位互換」ですので、就職に当たって「どちらの障害種別でも応募できる」という強味くらいではあります。両者の「合わせ技」としては「上下水道の基本料金」が減免になったくらいです(笑)。いや、何もないよりは有難いですが。

 「療育手帳」については、一定の年齢に達した時とか、一定の期間ごとに「再判定」を受けることになります。
 小学校入学・卒業と、中学校卒業、そして18歳前後というタイミングが主流ですが、2~3年ごと、という自治体もあるようです。

 息子は、中学校卒業を前に申請しましたので、次の「再判定」は18歳になった夏、とされていて、高校卒業後ということになります。少なくとも「高校卒業してすぐ就職」の場合は、「療育手帳あり」の状態で就職活動が可能です。
 仮に「再判定」で「非該当」になったとしても、「身体障害者手帳」も持っているので、雇用主側から見れば「障害者を雇用している」ということに変化はないので、就労の継続についてはどうにかなるのでは、と思います。

 そして「療育手帳」の「再判定」は、多くの自治体でこの「18歳(場所によっては20歳)前後」が「最終回」のようです。
 それ以降は「知的障害の程度」が大きく変わることはない、ということなのだろうと思います。

 逆に、このタイミングが「療育手帳」を取得する最後の機会とも言えます。
 成人してしまうと「(生まれついての)知的障害がある」と判定することが困難になってしまうからです。精神疾患による「障害」との弁別が難しくなり、幼少期からのエピソードを精査したり、場合によっては「小学校の成績表」などの疎明資料を求められることもあるようです。
 最近は、小中学校で特別支援学級に在籍した経験のある人も多くなっていて、そのような「事実」が判るならまだいいのですが、ずっと「生き辛さ」や「過ごし辛さ」を感じながら一般学級で過ごしたような人だと、なかなか疎明できないことも考えられます。

 そして「精神障害者保健福祉手帳」ですが、これは2年ごとに「更新」が必要になります。
 この手帳とセットで持つことの多い「自立支援医療受給者証」は1年更新ですので、1年おきに手帳と同時更新、という人が多いと思います。
 「療育手帳」の「再判定」は、児童相談所や知的障害者更生相談所での検査がメインですが、これは無料で受けられますから、費用としては「写真代」くらいしかかかりません。しかし「精神障害者保健福祉手帳」の場合は(自立支援医療受給者証も)、医師の診断書が必要なので、それなりの費用が定期的にかかることになります。

 それにしても、三種類の「障害者手帳」で、それぞれ「再認定」「再判定」「更新」と、手続などが違うとはいえ、用語も違うのはややこしいですね。
 特に「再認定」と「再判定」は、言葉も似ているため、つい間違えそうになりますが、逆に言えば、用語を正確に使うことで、との手帳の手続か、がわかる、ということにもなります。

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