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「有料道路割引」の不思議

 高速道路などの有料道路については、身体障害者手帳または療育手帳(第1種/横浜市の場合はA2以上)の交付を受けていると、割引(通常料金の半額)になる制度があります。
 そのためには、予め福祉事務所(横浜市では区役所の高齢・障害支援課、区によっては、こども家庭支援課での手続になることもあります)で証明を受けて申請(その後2年ごとに更新)する必要がありますが、併せて登録しておけばETCを利用することもできます。

 身体障害者手帳も療育手帳も、第1種障害者の場合には、障害者本人の「同乗」で適用されます。
 第2種身体障害者の場合には、本人が運転する場合のみ適用されます。
 また本人運転であれば、第1種身体障害者の場合でも適用されます。

 ところが、療育手帳については、第1種障害者が「同乗」する場合に限られ、第2種は適用外です。障害者本人が運転する場合は、適用されない、と読めます。何か変な感じがします。 

 これについては、恐らくですが「歴史的経緯」が影響していると思います。

 2002年に改正されるまで、道路交通法では「精神病者、知的障害者、てんかん病者、目が見えないもの、耳が聞こえないものまたは、口がきけないもの」には運転免許を与えない、とされていました。
 そのため「知的障害者」であるとして療育手帳の交付を受けている人は、この「欠格条項」に該当してしまうため、そもそも「運転することを想定」していなかったのでしょう。

 現在では、知的障害の有無によらず、所定の技能を習得した上で学科試験(しかも○×式)に合格すれば運転免許を取ることができるのですから、この旧態然とした割引制度には違和感を通り越して、呆れてしまいます。
 また、第2種(横浜市で言えば「B1」「B2」)であっても、一定年齢までの「移動」には困難が伴いますので、そちらへの拡充があってもいいのではないか、と、個人的には思っています。 

 更に言えば、横浜市では「身体障害者手帳(4級以上)」「愛の手帳(全等級)」「精神障害者保健福祉手帳(全等級)」の所持者に対して、「運転免許取得費用の助成」という制度もあります。
 かつて運転免許の「欠格事由」とされていた「知的・精神」の障害者も運転免許を取得することは、普通にあり得ることなのです。
 なお、いわゆる「認知症」も「精神疾患」に該当します。認知機能の低下した高齢者による事故がしばしば報道されたりもしますので、この「欠格事由」の是非については、単純な問題ではないことはわかります。
 あくまでも、運転免許の取得については「本人の適性」によるべきものだと思いますので、取得時の検定・試験はもちろん、更新時にも一定の「適性確認」は必要だと思っていますが、このあたりは「本旨」ではないのでこの程度にしておきます。

 これを読んでいる方の中には「B2」所持者やその親御さんも多いと思います。
 身体障害者と同様に扱われれば、将来免許を取って、自分で運転する時には割引が適用されるのですが、まだまだ道のりは遠そうに思えてなりません。

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