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Garminのバーチャル専属トレーナーが個人的にはツボかもという話

Garminという会社は、昔から航空機や漁船用のGPS関連機器を作っている。昨年の冬出たスマートウォッチで私は初めて出会うことになったのだけれど、使っていてすごく素朴な、あるいは朴訥な印象が強い。
AppleWatchのように生活の中心に現れてがらっと変える影響力があるわけではなく、逆にFitbitのように生活の隅にそっと寄り添うという姿勢でもない。

単純に不器用。

一言で言うとたぶんそう。無印良品とかタニタ食堂とかそういう素朴さではない。
でもこの手間のかかる感じが個人的にはわりと心地よくて、接するときの距離感がたまにバグってたりするのも愛嬌。

そんなわけでデバイスのほうは「頑張ってるけどなんかダサい」感じだけど、アプリ側にもいろいろと面白いものが入っている。

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GarminCoachという専属のバーチャルトレーナ―がつく機能がある。
これはスマホ用のアプリに標準でついてくるもので、バーチャルと書いてしまったけれど、実在する3人のプロトレーナーがそれぞれ監修したプログラムの中から一つ選んで、目標に向け3か月程度のスパンでトレーニングする。

かっこよい表現と裏腹にこれが結構いいかげんで、いろいろしてくれはするんだけど、そんなに完成度が高いわけではない。

私がおじいちゃんコーチを選んでランニングしかしてないせいかもだけど、ビシバシ指導ではなく、メニューと日程は組んでくれてあとは、
「まあ、わたしはこうしたら良いと思うなあ。やってみてよ」
という感じ。
さぼった日があっても催促されず、頑張った日も大喜びしてくれるとかはない。ていうかそもそも私のGoogleカレンダーに同期してくれるわけじゃないから、いつトレーニング予定日なのか自分で確認しなきゃいけない。

そして顔が見える野菜よろしく丸い枠に収まった彼を見て、GarminCoachを操作する時にはやり取りを妄想しながらなんだかんだ8週間ほどトレーニングを続けてきた。だいたいお互いの関係性も相手の出方もわかってくる頃である。

ごめん、今日雨降ってるから明日ね、って言うと、
「じゃあ二日つづけては体によくないから明後日の予定は一日ずらそうな」
とか。

説明動画ではグライダードリルと称して、
「足への負担を減らそう。歩き、はや歩き、走りと滑らかにつなげるんだ」
とか。

書いていて、何だ、結構ちゃんとしてそうじゃん、と思われる気がしてきた。いやいや、違うから!ジェフそんなに気がきく奴じゃないから!
日付ずらすのなんか書くべきコードは短いし、他の人とおんなじもの使いまわしてるだけだし、グライダードリルも動画見てて心配になるくらいよぼよぼしてるし。

週末に突然、思いついたように
「じゃあ今日は5kmのタイムを思いながら2kmを走ってみるぞ!」
とか!

ドリルワークアウトって書いてあるからいつもと同じやつか、て思ってたら
「今日はグライダーを実践するぞ!30秒の後は休まず次のランだ!」
とか!

っていうか、ひいひい走ってるときにあんな小さい画面で米粒みたいな説明を読ませるのはむちゃだ。いつもと違うトレーニングをするなら事前に通知して、手順をスマホでゆっくり読ませてほしい。

でもそんなアナログなおじちゃんとアナログなGarminにつきあっていると、改めて普段デジタル世界でどれくらいの配慮に支えられているのか実感する。その意味でも彼との付き合いはそんなに不愉快ではない。

色んなアプリやサイトを使うとなれば、右上にヒントもガイドもさりげなく置いてあるし、どのボタンを押したらどうなるのか、次に何をしたらいいのかも、何も気づかないうちにするすると進むように、いたるところが設計されている。

それは大変うれしいことで、ありがたいことで、そして難しいことだ。
自分もなにかをつくるときは極力そういった工夫に取り組んでいるけれど、うまくいかなくて自分を責めたり、突きつけられる現実に絶望したりする。

そんなわけで今日もGarminのアプリでトレーニング結果の欄を見に行くと、
時間やペースと並んでささやかに、よくできました、って書いてある。

Garminは朴訥だ。喋るかと思えば不器用だ。
まあこっちが元気なうちは、無配慮も気にしないでいこうか。

あー。ジェフとあと3週間だと思うと、急に別れが寂しくなってきた。

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