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管理職になりたがらない社員が多い理由は重い「責任」を持ちたくないから、という理由は本当なのだろうか?

昨日、マンパワーグループの調査を引用して、管理職になりたい人が少なくなっている現状のことを書いた。

マンパワーグループの調査によると、20代から50代の8割が管理職になりたくない、と回答し、その理由が、
①責任の重い仕事をしたくない
②報酬面でのメリットが少ない、となっている。
年代別に見ると、30代までの男性は30%の人は管理職になりたいと答えているが、40代以上になると男女共に10%以下に落ちる。

20代、30代は管理職未経験の人が多いから比較的肯定的だ。しかし、40代以上になると経験したことがあるが、あまりに大変だったので、もう2度とゴメンだと言う人がかなり多いのではないかと推測される。

昔は課長、部長への昇進を競い合っていたが、今は譲り合う時代になった。
なぜ、そうなったのか?
アンケートの結果から推察するに、「責任」が大きく関与していそうだ。

責任とは何か?

①立場上当然負わなければならない任務や義務。
②自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと(デジタル大辞泉より引用)。

自分ひとりでやって失敗した責任をとるのは仕方ないけど、部下の不始末の責任までとらされるのは受け入れ難い人が多いだろう。
でも、それは昔も同じだったはず。では何が違うのか?

責任を負う立場の人間には、同時に権限と裁量が与えられる。
昔の管理職は権限が大きい割に責任が軽かった。日本全体が成長していたから。今は逆で、権限も裁量もあまりないのに、責任ばかりが追及される、そんな印象がある。

私見だが、日本人は「責任」という言葉を正しく理解できていない可能性もある。
それはかつての武家社会では、責任を取る=切腹だったからだ。
今でも、無理に責任を取らされることを「詰め腹を切らされる」と言う。

「責任」の解説に、このような内容のものもある。

責任とは、社会的に見て自由があることに伴って発生する概念である。
英語ならばrespondに由来しており、何かに対して応答すること、応答できる状態、を意味している。法廷において自分の行為について説明したり弁明したりすることを意味していた(ウィキペディアより引用)。

なんか、詰め腹を切らされるという印象と違いません?

管理職の責任と言うと、問題が起こった時に責任をとって辞めるという印象が日本では強い。

しかし、本来は違う。与えられた裁量と権限を駆使して、自らの判断で行動する際に、なぜそれをするのか、その結果どうなるのか?の説明がきちんとできること、それが責任、ということになる。
結果として失敗することもあるだろうが、本人に重大な過失や不作為などがなければ、その責めを負う必要はない。多くの名経営者たちもたくさん失敗してきた、と語っているし。
失敗の責めを負う必要があるとしたら、管理職に任命した会社(人事責任者)ということになる。

こういうことを私たち人事担当者はしっかり説明しなくてはならない。

管理職になりたがらない社員が多いのは、管理職の仕事を正しく理解していないからである可能性が高い。

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