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超現実主義の日々

ベッドに横になって右を見ると、窓がある。
高さが1.8m、幅が1.2mくらいの大きな窓。
こんな窓だ(寝た視点の写真)。
額縁みたいに見えるでしょ。
空と雲だけが窓枠に収まっている。

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私はこれをマグリットの絵だと思って日々鑑賞している。

ベルギーの画家マグリットはシュルレアリスムを代表する画家だ。
巨大な岩が宙に浮いていたり、空からおじさん(紳士)がたくさん降ってきたり、わかりやすいくらいシュールな絵をたくさん描いている。

マグリットの絵に頻繁に登場するのが空だ。
私が見上げている病室の窓は日替わりでいろいろな空を見せてくれるが、マグリットファンとしてこれはありがたいサービスだと思う。
この窓は立ち上がって見ると電車が見える。いわゆるトレインビューというやつだ。
ということは、寝てみる景色はマグリットビューということになるか。

ベルギーに行ったことがある。マグリット美術館にも行った。マグリットを堪能しておみやげに山高帽の形をした鍋敷きとかを買った。その後、街をぶらぶらしながら当然のようにベルギービールを飲み歩いた。夜遅くなった気がしたが、日が沈んでも夏のベルギーの空は明るかった。
「光の帝国」と題された絵(夜なのに空は昼間)があるが、自分が一瞬その中にいると思った。マグリットは日本でもよく展覧会が開かれるので、わざわざ現地に来る必要はないけど、こういう体験(ただの錯覚?)があるから旅は楽しい。
https://www.artpedia.asia/magritte-the-empire-of-lights/

今は旅に行けない時代。
しかし、窓があって空が見える病室。至極平凡な風景だが、私のドラッグ漬け(すべて医薬品ですが)によるトリップ力がベルギーからマグリットの絵を逆に引き寄せたのかな。


今日で入院が4週目に入る。明日は抗がん剤の2回目の投与だ。
不安の中、私は夢を見ようとしている。

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