見出し画像

育休中、勉強していたスキルが職場で役立っている話

「仕事辞めようかな…」そう思い始めたのが2年ほど前。仕事をすることは好きで、多少忙しいほうが毎日にハリがあって好きなほうだけど、余裕のない毎日に違和感を感じていた。朝なかなか動かない子供を保育園へ送り出し、帰宅後夕食の準備、お風呂、就寝までノンストップで動き、寝かしつけながら寝落ち。散らかった家の中。殺気立つわたし。かわいくてたまらないはずの子どもとの会話より、目標の時間通りに進めることを優先して語気を強めてしまう。

これまで携わってきた雑誌や書籍編集の経験を活かして、在宅でフリーで仕事ができたら、と思い、副業でクラウドソーシングのライティングをやってみたけれど、単価の低さに参ってしまった。なにかプラスになるスキルを、と思い以前から気になっていたWEBデザインのオンラインスクールを受講することにした。

まだ家族が寝ている早朝や、夜の寝かしつけ後に少しずつ時間を作ってillustratorやPhotoshop操作の課題に取り組んだ。誰にも邪魔されず、新しいことを学ぶ時間はとても充実していた。そんな日々を過ごしている頃、2人目の妊娠がわかった。

妊娠中は、少し勉強のペースを落として、1年間の産育休中に進めることにした。産休に入ったら「ママでも自分らしく働きたい」コミュニティに入って平日昼間に開催されているオンラインセミナーに顔を出したり、同じような気持ちでWEBデザインの勉強を始めたママさんたちと交流してみたりした。

想像していたよりはるかに沢山のママやフリーランスを目指す女性がWEBデザインの勉強をしていることに驚いたし、WEBデザイン関連の検索を多くしているうちに、「今の働き方を変えたい」「専業主婦から少しでも収入を得たい」「子どもとの時間を守れる働き方にしたい」と悩んでいる人たちの心にグッと刺さったり、そっと寄り添ったりするWEBデザインスクールの広告が私のスマホに溢れていった。

大手企業が主催する30〜50万円のスクールもあれば、個人在宅WEBデザイナーが主催する5〜10万円のスクールもあり、授業内容も様々。受講中にも積極的にクラウドワークスやココナラなどで仕事を獲得して収入を得られる人もいれば、そうでない人もいて、まだ自信がないから仕事に手が出せない、コンペなどに参加しても競合が多く他のデザイナーとの差別化ができない、と簡単には仕事につなげられない人も溢れているように思えた。

私も実際そのタチで、オンライン出不精な自分にネット上で仕事がもらえるイメージがつかなかったし、いざとなると「実務経験もないし…」と自信が持てずに足踏みしていた。「自分らしく働きたいママを応援!」してくれるコンサルママや、「こんなお仕事納品しました」のデザイナーママのインスタ投稿に背中を押されたり、時には目がチカチカして煩わしくなったりしながらも、上の子と乳児の世話と家事の合間で時間を見つけ、自分のペースで取り組んだ。SNSのプロフィールや制作事例をまとめたページを整えたり、知り合いの整体院のホームページを作らせてもらったり、ついでに動画編集も習得したりと、実践のための練習をしばらくしていた。

2人目の出産から1年ほど経ち、育休が終わりに近づいた頃、仕事に復帰できるのか、2人の子どもがいてやっていけるのか、と不安に思っていた。「保育園に入れなくて…」とか「引っ越しをすることになって…」とか復帰できない言い訳を考えたりもした。そんな気持ちを抱えつつ、来週にでも復帰面談の日程調整を、という話が上がっていた時期に、3人目の妊娠が分かった。1歳違いの年子になる。

1人目2人目と不妊治療や妊活の末授かったので、正直驚いた。と同時に迷わず「 いま仕事を辞めるべきじゃない」と決まった。産前産後や働けない期間に手当てがあるのとないのでは全然違う。せっかくこれまでやってきた会社員という立場で受けられる恩恵に預からない手はないし、夫もそう言うに違いない、と思ったし実際そうだった。

かくして私の「仕事辞めようかな…」は延期となり、復帰の話を進めた。心苦しくも事情を説明し、次の出産の前月までの3カ月間、働くことになった。

この3カ月間はエクセルの入力や集計作業、書類の発送関係や、WEB更新などが主で、部内のメンバーのアシスタント的な仕事を行い、やることがなくなったら別の部署やパートさんに「何かお手伝いすることありませんか」と顔を出してまわり「まいどあり~」と言って小さな仕事を探してまわっている。

広報部門で部内の人や企画をまとめて進捗していた以前と比べると、仕事内容としてはかなり負担がない上に、久しぶりに子どもの食事を気にせず自由に昼食がとれたり、自分のタイミングで動けることはかなり快適。

梅雨明け目前のこの暑さでの通勤や、帰宅後のお迎え、晩御飯、寝かしつけなど、毎日もちろん大変だけれど、出社すれば挨拶や他愛もない雑談や愚痴を交わす同僚がいて、空調が効いた部屋に自分のデスクがあって、仕事に必要なものは全て揃っていて、決まった日に給料が振り込まれる。この会社員生活も悪いことばかりじゃないな、と改めて感じることができた。

そして、仕事を辞めることを考えてスキル取得をしていたWEBデザインや動画の編集がいまの職場で活かせていることが、自分としてもよかったと思っている。広報部門なので、外部に制作や編集をお願いすることが多いが、ちょっとしたものや急ぎのものはなんとか内部でこしらえて、というパターンも少なくない。バナーの制作やチラシなどの印刷物のデザインを引き受けているうちに、「こういうのもできる?」と他部署からも声をかけてもらえるようにもなり、仕上げたものを確認してもらうと「プロじゃん!」と大げさに褒めてもらえたりして正直嬉しい。外部に依頼すればかかる経費も削減できるし、一から打ち合わせをする手間も省ける。

この3カ月を終えたらまた産休に入るし、3人目の育休明けにどういう心境になっているかわからないけど、自信が持てずにいたスキルをここでアウトプットすることで、思いのほか貢献できることがあった。

悩みながらも、いまここに至る意味はきっとあると思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?