ダンマパダ292、293偈 やらなきゃいけないことがたくさんある時は気をつけた方がいい 煩悩で頭が混乱している証拠、であると
292 、 なすべきことを、なおざりにし、なすべからざることをなす、遊びたわむれ放逸なる者どもには、汚れが増す。
293 、 常に身体(の本性)を思いつづけて、為すべからざることを為さず、為すべきことを常に為して、心がけて、みずから気をつけている人々には、もろもろの汚れがなくなる。
ダンマパダのこれらの偈を普通に読むと、すべき良いことを行うべきで、すべきでない悪いことはやらないように、ということで、なんだかあったり前のことだよな、となんらの啓発もないものと思っていた。
しかし佐藤哲朗さんのYouTubeでは、あれもやらなくちゃいけない、これも済まさなくては、こいつはもう準備しなくては、あっちも手を打っておかねば、あいつに頼まれたことがあったぞ、このことは彼に念押ししておかないとやばい、などと、いずれも倫理的にも論理的にも正しいことであっても、「同時にいくつものことをやらなければならない状況は、頭の中が執着や煩悩で混乱していることの証拠」なので気をつけた方がいい、と言っておられて、嗚呼ホントにそうだ!と初めて気づいた。
これまで、目の前のことから、過去の反省チェック、将来の布石や予防、他人からの相談事、同時多発に対応して、俺は聖徳太子のように一度にいくつも処理できですごいだろう!と自慢している自分だったのではないか。
しかし、将来の布石で打った手があとあと悪手だと分かったり、人からの頼まれごとが、実はそこまでやって欲しいとはその人は思ってなかったらしくて、こちらの早とちり気味で、やってあげたのにおざなりな感謝しかされなかったり。
トヨタ生産方式でジャストインタイムと言うが、そうしないと作りすぎのムダになりやすく、あまり早く準備すると状況が変わってやったことがムダになる。豊田英二さんが「その時にそのようにせよとの大御神のお言葉なるぞ、どんどん進め」という時、目の前に必要が現れたその時にスピーディーにドッとやれということだろう。入江仁之さんのOODAがPDCAに優れる、というのも、PDCAだとあれもこれもと無用な心配まであらかじめ対策して、状況が変化して本当に必要なことに即応できなくなる、一方OODAだとよく状況を観察して、これだという今やるべきことに集中して決断実行し、このサイクルを素早く回す。(PDCAでも毎日回せばまだいいね。年1回の点検とか、中期計画だとちょっとムダ)。
自分の超反省だが、本当にはこれからの生活に大きな困難がないように準備セットしているのに、利回りのいい商品にポートフォリオを組替えたり、節税対策を打ったり、割安になるかなと会員になって課金されたり、でも結局複雑になっていつもいつも確認チェックが必要で心休まらない。それどころか、あれはやらなかったらよかったな!とか。友人からの頼まれごとがゴタゴタになり、なんか全部自分が背負い込むことになったり。
佐藤哲朗さんがおっしゃる通り、目の前に迫った今対応が必要なことひとつを、しっかり片付けていくこと、悪いことでないどころか多分いいことでも、今必要でないことまであれこれ手を出すのは、執着や煩悩がすでに入り込んでいる可能性も高く、混乱した頭が指令しているのだろう。
全くこれまで間違ってた。今でも「いろいろ頭が巡って、手を打てて、俺は優秀」とか思い込んでバカをやりかねない。
一個流しというトヨタ生産方式通りだ。心していかなくては。(ただしかつてトヨタ生産方式はながら生産方式と教えてくださった専門家の先生がいたが、これには慎重でなくては)