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町の寿命

今、わが家はブロック塀の工事をしている。この家も建ってからはや50年が経過。あちこちちまちま修繕しながら暮らしているが、ブロック塀は50年前の基準で建てたまま。遠からずやって来るであろう直下型大地震に遭えば、一瞬で崩壊しガレキの山になることが目に見えている。いや、大地震でなくてもある日突然倒壊するかもしれない。根元には穴が空いてるし、コンクリートの耐用年数はもう過ぎている。こわいなあ。

横浜市からブロック塀の撤去·軽量フェンスの設置には補助金が出ることを広報で知り、兄に手続きをしてもらって、金額的にはすこしお得に改修できることになった。毎日工務店の人が蒸し暑いなかせっせと作業してくれている。完成が楽しみだ。新しくなったフェンスにはモッコウバラをからませて、緑の鮮やかな塀にしようかな〜とか考えているのだがうまく育ってくれるかな。

しかし工事の音がうるさいな。コンクリを剥がし鉄筋を打ち込み、バリバリドギューンカンカン!いたしかたないとはいえ、御近所のみなさんもイライラしているだろう。あいさつはして回ったんだけど、我慢してもらうしかない。すんません…と、思っていたら、うちだけでなくなぜか近所で家の解体工事が集中発生。5軒の家が取り壊し中で、家にいるとあちこちからドッカンドッカン工事の音。まあ、わが家から発生する騒音が紛れて都合がいいし、お互い様ですし。

買い物に出たついでに解体現場を見て歩いた。どこの家も昔からこの町に暮らしていたお宅で、住人が亡くなったり、老人ホームに入居して空き家になった家ばかりだ。見慣れた家がいっぺんになくなると、町の景色が変わるなあ。跡地に何が建つか知らないけど、カステラの切れっ端みたいな薄べったい建売住宅ができるのだろうか。そうなったらもう自分の知らない町になってしまいそうだ。いやだなあ。

この町の寿命がとうとうやってきたのだろう。
これから歳をとって、自宅の近くで迷わないように、目印にやっぱりモッコウバラを育てようと思う。黄色いバラがいっぱいに咲くすてきなフェンスを作るため、がんばって庭木の本を読んでいます。

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