僕は神が好き

小さい時から、何が好きか、何になりたいかって聞かれた時にはその時たまたま思いついたものしか口に出せないような性格だったが、大体の人はそれが正解と思い込んで回答するしその思い込みが正しいこともある。人の好みが容易に移ろうのは当然のことで、昨日まで好きだったものを今も好きって言える余裕が無い人は、今だけ好きかもしれないものを好きっていう権利があるのか?って時々思うんだけど
 それでいうと、僕はその余裕がない人間で、だからこそ他人が言う「好きなもの」を疑ってしまうし、自分自身が好きな感情にも疑ってしまう。そうすると本当に好きかどうか判断する余裕ができて、その疑い自体がほんとに好きっていうことの裏付けになるような気がするから。
 僕は時々自分の感情を共有したい欲に駆られるが、僕は僕の感情が好きなので本当に好きなのかを疑う。そこで、他人がどういう視点で僕の感情を処理するのかを参考にする。絶対的な正解っていうのはないので、そこでもまた他人の意見を好き嫌いで判断して、それを疑う。
 
 絶対的な正解を教えてくれる存在が神だとしたら、僕は神が好きだ。ただ僕は目の前に神を自称するものが現れても、そいつが空を飛ぼうが魔法を使おうが僕が納得する正解を教えてくれようが絶対に信じない。信じないうちは、正解に一歩ずつ近づいているって思い込めるから。
 僕は神が好きだ。だって僕は、神がいないって信じてやまないから。
 
 


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