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フォトブック作りのまとめ

今年の1月にフォトブックを売りました。

自分の中では気軽な気持ちでやり始めましたが、
結果 それが300冊弱ご注文をいただけることになって
それを、全部1人で売った話です。


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1. 作ったきっかけ


去年末に展示に誘ってもらいました。
この時、展示物に全力をかけたくてブックみたいなものは置く予定がありませんでしたが、主催のケンタソーヤング (@kenta_soyoung) に「どんだけ安くてもいいからぺらぺらでもいいから、ブックは置いておいた方がいい」と言われたのが、発端の発端でした。

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展示もしたことなければ、ろくに好んで展示を見てこなかった私には全く分からない話。
なんなら、展示だけポンとあって、詳細も何もない方がどちらかというとカッコよく見えるタイプだったから、正直乗り気ではなかった。

でも、ケンタソーヤングと一緒にミカ製版さんに行った時 お世話になった方も「展示をみて、ブックを手に取ってもらったら よっしゃ って思うよね」
と仰っていて、やっぱりそうなのか、、と。

それで作るのを決めた。



決めたはいいけど、どこで作ろう?

展示にお金をかけてしまった手前、ブックにお金がかけられない。
いろいろサイトを見て回ったけど、結局戻ってきたのはしまうまプリント
写真好きな人ならほぼ知ってるであろう、格安で有名なところ。(https://www.n-pri.jp/)

3、4年前ぐらいに一度、24ページぐらいのフォトブックを作ったことがある。これがもう死ぬほど安くてびっくりしたけど
満足しなかったのを覚えていた。


しまうまプリントの質とかではなく、自分の写真の量に。


結構詰め込んでた気がしたのに、24ページって物足りない・・。
それを覚えていたので、せっかく作るなら一番多いページ数にする!と
144ページのものを完成させた。


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これを展示に置いておいたら、すごい数の人が見てくれることにびっくりした。みんな、こんなに手に取ってくれるものなのかと。
そして展示の1週間の間、「これ売ってはないんですか?」と言ってくれる方が本当にいっぱいいた。
お金もないし在庫も持てないから、展示では何も売らなかったんだけれど
私の写真にお金を払うと言ってくれた人がいたのが本当に嬉しくて、

これは、つくるしかないな・・・と。


余談ですが、見てくださった方の中で
東京カメラ部代表の塚崎さんが「これ欲しい」と仰ってくれて
それを間に受けたのも強かったかもしれない。
(そして塚崎さんは本当に買ってくれて感激した。)




2. なぜ2種類作ったか


一つは、上記展示で置いておいたブックと同じものを通常版として
それをもちろんメインで売るつもりではあったんですが。

やっぱりお金をかけられなかった分、私が現像で出した色じゃなかったり
巻き込みがあるブックだと見開きのある表現ができなかったり・・
いろいろ妥協が多かったので、受注生産としてちゃんといいものが買える選択肢を作ろうと思った。


高級版は、私が働かせてもらっている会社で、結婚式のアルバムをいつも作ってくださっているアスカネット(https://www.asukanet.co.jp/)に頼んだ。

仕事で永遠と見ているからこそ、ここのプリントの綺麗さとかクオリティ・対応の良さだとかを全部見ているのでここで作るのは即決だった。

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ただ、もちろんかなりいい値段がする。


一般的に、原価率は30%と言われるが、そんな比じゃない。
売ってる値段の3分の2ぐらいが原価で持っていかれる。
それに送料だ梱包資材だ人件費だなんて含めるのであれば、正直自分が損しかしてない気がするけど、それでも、少数でもいいから買ってくださる方がいるのであれば 自分が堂々と「見てください」と言えるようなものをちゃんと作りたかった。

それが、今までずっと見てくれてる人に対して今自分ができる
「良いもの」だと思ったのです。



3. フォトブックの作り方


フォトブックを作るのはかなり難しい。

作ったことがある人は多少分かるかもしれないけど、それがさらにページ数を多くするとなるとかなりいろいろ構成を考えないといけない。


通常版の方は144ページもあるので
何かしら、自然だけど一貫した流れを決めないと難しくなってくる。
難しいというようりも、読み手が途中で飽きる。
「144ページもある」けど、同時に「144ページ見てもらわないといけない」。

だから、多いページ数の写真集とかは重さが出て良さそうな感じに見せられるけど、この飽きる構成しか考えられない・自信がない場合は枚数を少なくした方が断然良いと思う。


写真集の場合であれば、
・色でまとめる
・撮った場所ごとに写真を区切る
・途中で文を入れる


などで1冊の緩急をつけないといけない。
映画と一緒で、起承転結のない話は誰が聞いても面白くない。


私は今回通常版の方を、かなりさりげなく「春夏秋冬」でまとめている。
東京に出てきてからの約3年間、過ごして見てきたものを
1年に記録としてまとめようと思った。

ベタかな〜と思いはしたけど、意外とこの春夏秋冬に気付いて突っ込んでくれた人が少なくて、なんだか私の中ではほっこり勝った気になっている←


一方、高級版の方は結構カッコつけて「写真集」っぽくまとめてる。

私の写真に3万も出そうと思う人なんか、きっとこのテーマだとかよりも
1枚1枚じっくり見れる方が喜んでくれると思って、全体の構成はそこまで深く練ってない。
ただ、文字に起こせる理由はなくとも、何回も何回も1ページ目から辿って読んでいるイメージを繰り返して ものすごく時間をかけて作った。


私が撮った写真をまとめたものだから、
自分が見てこのページなんか違和感を感じる・・と思ったらやめたり
他のページと入れ替えたりしてたらかなり時間がかかってた。
あと、買ってくれる人も絶対少ないからと思って
ほんとに、ほんのちょっとだけ 思ってることを文章で打った。




フォトブックを作るにあたって、
単一のページごとに考えるのではなく、必ず見開き2ページ単位でレイアウトを考える必要がある。それが最小の単位。

見開きの2ページだけを見たときに左右違和感のないレイアウトにする。
(色や人寸のバランス、相似やごちゃごちゃ具合など)
隣り合ってるページのそれぞれの主張があまりに激しいと、そのまま読み進めるのがなんとなく大変になってくる。


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左右見開きのページで、「どれも見せたい!」精神は少し抑えて、
主役脇役の関係で構成すると、定番で一番見やすいレイアウトができる。


主役と脇役の関係で直結してくるのが、大きさ。

見せたいものは大きく、それ以外は一回り小さくレイアウトするのが鉄板。
よく見るレイアウトでもいざ自分で作るとなると意識できないことが多い。

これが、24ページぐらいのアルバムならこの鉄板のレイアウトを数個散らばせるだけでそれっぽくなると思う。



私の今回のフォトブックは144ページと80ページで、かなり枚数があるので
レイアウトをたまに変えていく必要があると思った。



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よくあるのが、「見開き」。
ページをめくって見てる中でたまに見開きを持ってくると、
その本の中で緩急がつけられる。
起承転結の転みたいな、強い印象を出せるし なにより細部まで見れる。



高級版の方はフルフラットなので、
見開きみたいにページを跨いだレイアウトを多数使っていたため大きく見れる反面 ペラペラ捲られすぎても嫌だったので途中でごちゃごちゃしてるページも作った。

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見開き2ページに渡って、色を統一してレイアウトの大きさも全部同じ。
パッと開いたときにどこにも目が行かない欠点を利用して、
あえてそのページで少し止まるように作った。

ただ、このページに関しては一度勢いを止まらせて
緩急の緩を作っている役割なので、この次のページへの繋げ方が大事になる。


私の場合、次ページでこの写真を全面で使っている。

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フォトブックを作る最小単位は見開き2ページ。
それができたらそのページごとの繋ぎで緩急を決める作業。

これの試行錯誤を繰り返して、1冊作っています。


何かで特段学んだわけでもないけど
こういうことを時間をかけて自分なりに練っているフォトブックなので、
もしこれを読んでいる方が、私のフォトブックを買ってくれた方だったら
もう一回そこも見返してもらえると嬉しいです。



4. 発送関係について


これもまたまた時間がかかりました。

基本的に、家に届いたブックをチェックして
1冊1冊に名前を入れる
手書きの手紙 or 手書き手紙のコピー(追いつかなくなった)
自分の名刺と、展示の時用に作った推しチラシ

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(この2つはりっぷさん (@lip_4) に作ってもらってます。いつもサンクス)

ペンギン型のクリップを探してきて大量購入
これを一つにまとめて、100均で大量に買ったOPP袋に入れる。
それを、プチプチ付きの封筒に投入して発送

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クッション封筒はダンボールワンで購入(https://www.notosiki.co.jp/)
それをクリックポストで発送。
気が狂うかと思った。


本当は全部手書きの手紙にしたかったんだけど、コピーになっちゃった方ごめんなさい。
こんな、おっさんかなんなのかよくわかんない個人の写真に何千も何万も出してくれる人たちを一番大切にしないといけないと思って、一個一個梱包はかなり心を込めました。(伝わったかはわからない)


会社の人たちとか、私の周りでこの作業を数ヶ月見てた人たちが
何かあれば手伝うからねって優しく声をかけてくれて本当に嬉しかったけど
やっぱりこれは全部私がやるべきことだと思って一貫させました。

その分かなり時間がかかってるけど、みんな本当に優しく待ってくれて
本当に有り難かったです。大変お待たせしちゃって、すみませんでした。

気が狂うかとは思ったけど、梱包は本当に楽しかった。
一人一人の名前を見て、住所を見て
良い名前の人だなあとか、こんな離れたところに住んでる人も・・とか。
こんなにたくさんの人が「ほしい」と思ってくれた気持ちにちゃんと答えないといけないな!と思った。


高級版は、プチプチに包んで
それぞれちゃんと手書きのお手紙をつけて、それをレターパックライトで発送してました。

たまに、長期不在とか住所が変わっちゃった方とかいらっしゃって
いろんな旅を乗り越えたフォトブックが戻ってくることがありましたが
思ったよりもクッション封筒がボロボロになって返ってくることもあったから、フォトブック直接入れなくてよかった・・と思いました。。。マジで。


送料は、通常版1つ200円弱。
これでも安いけど、積み重なると本当に高い・・・。
カードの請求見てびっくりした。笑




5. まとめ

本当にいろんな人が欲しいと言ってくれて、
ちゃんと受け取りました、とてもよかった等わざわざメールをくれたりDMをくれたり、ツイートしてくれたり。
何も連絡がないなと思っていたら、黙って直接手紙で感想をくれた友達もいた。お礼で、その方が作った写真集を送ってくださった方もいた。

自分用で2冊欲しいと言ってくれた方もいたし、
友人や恋人へプレゼントなんだと言って買ってくださる方も。

なんなら
高級版と通常版どちらも買ってくれた強者もいた。
(それはもうまごうことなきファン。笑)

この写真のアカウントを作った頃の自分では、遥かに想像がつかないぐらいのたくさんの人に写真を見てもらえていて、好きだと言ってもらえていて。

Twitterだと、どうしても「過去の写真」として流れていってしまうこの写真たちを、たくさんの人たちの手元に形で存在するものとして置いていてもらえるのが本当に嬉しくて、感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです。



どうぞまだまだ、死ぬまで私の目線を。


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マネークリッパー吉沢

BASE(https://allyoshizawa.official.ec/)

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