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こんにちは、金融ブロガーの本郷マサシです。

数ある投資資産の中でも、不動産は大変魅力ある商品です。物件そのものの価値に加えて、利用による価値(他人に貸すことによる賃料など)が期待できるからです。

一方で、不動産投資のネックは数億円を要する投資資金、ふつうのサラリーマンでは調達不可能で、集められたにしてもリスクが大きすぎます。

そんな不便さを解消した金融商品が「10万円から始められる不動産投資」REITです。

仕組みが難しそうでとっつきにくいイメージの強いREITですが、わたしたちが日ごろ通っているショッピングモールもREITで運用されているほど、実は身近な存在なんです。

◆そもそもREITって何?10万円から不動産オーナー◆
話は飛びますが、一般的にわたしたち個人がマグロや和牛を一頭丸ごと買うことはないでしょう。魚屋さんや肉屋さんが「小分け」してくれるから、わたしたちは食べることができますよね。

一方不動産は、肉や魚のように小分けはできません。
そこで登場する手法が「証券化」です。

証券化とは、いくつかの投資資産をパッケージ化して、複数の投資家に販売する運用手法です。昔は証券を発行したことから、証券化と呼ばれます。

REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)とは、不特定多数の投資家から資金を集めて複数の不動産に投資、運用による収益(売買損益・賃料など)を投資家に分配する金融商品です。

REITの対象物件は数百億から数千億円におよび、個人投資家ではとても手が出ません。それが、証券化で小分けすることにより、10万円から「不動産オーナー」になることができるんです。

◆REITのメリット・デメリット◆
REIT最大のメリットは、高い分配金の利回りで、5%を超える銘柄も少なくありません。2%足らずの株式配当(東証1部上場企業平均)を、大きく上回っています。

上場企業では利益の一部を配当に回し、残りを社内に留保します。ちなみに配当に充てる率(配当性向)は、上場企業平均で3割前後にとどまっています。一方REITの場合、利益のほぼ全額を投資家に還元することが法律で義務付けられています。そのため、高い分配金利回りが期待できるのです。

一方、REITで最も注意すべきは信用リスク、つまりREITを運営する投資法人の破たんリスクです。不動産相場の下落は、多くの物件を抱えるREITにとって大打撃です。とくに借入金で資金の多くを賄っているREITの場合、経営が悪化→デフォルト(債務返済不能)の道をたどるリスクが高まります。

各REITの信用リスク度は、LTV(有利子負債/総資産比率)を比較するばわかります。LTVは高ければ高いほどリスクが大きいわけですが、特にLTV50%に近い銘柄は、信用リスクへの注意が必要です。不動産デベロッパーなど、スポンサーと呼ばれる支援企業の信用力もウオッチしておいた方が良さそうです。

分配金変動も大きなリスクです。景気変動による需給悪化は空室率上昇・賃料低下・売買損益悪化を招き、結果として分配金の低下につながります。ちなみにリーマンショックの時もREITの収益環境は急速に悪化、分配金を7-8割下げた銘柄も少なくありませんでした。

◆投資対象によって違うREITの明暗◆
今回のコロナショックで、REITは株以上に大きな影響を受けました。JREIT指数は、2月20日の年初来高値2,250円から半値近くの1,145円まで急落します。2019年にはREIT市場にヘッジファンドなどの短期資金が流れ込み、相場を押し上げましたが、今回は反動で短期資金が一斉に逃げ出し、一挙に冷え込んだというワケです。

その後は相場も落ち着きつつありますが、5月末でもJリート指数は1600円台にとどまっており、まだまだ割安水準です。

となると気になるのが、REITは今買い時なのかですよね。

REITは、オフィスビル・商業施設・住宅・インフラ施設・ホテルなど、さまざまな不動産物件に投資しており、投資対象によって収益環境も異なります。

例えばオフィス系リート、景気悪化で賃料収入が低下し分配金が仮に2割前後切り下げられたとしても、分配金利回りが5%を超えるなら、まだまだお買い得といえるでしょう。

逆にホテル系の場合、インバウンド需要の蒸発で収益環境が急速に悪化、分配金も大幅に切り下げられる可能性も出てきます。

ただし、コロナは今後どうなるかいまだはっきりしません。第二波の動向や経済状況などを見極めるなど、注意深く行動するようおすすめします。

つづく。

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