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私が推しと出会い、応援しようと決めた時の話。【第一章〜千と千尋の神隠しを観に行こうよ〜】


2021年の秋。私は心踊らせていた。


『千と千尋の神隠し、舞台化するんだってさ!』 



ミーハーな私は、このひとことを伝えるべく母が寝っ転がっているであろう自宅の寝室に乗り込んだ。別にジブリが特別好きなわけじゃない。だけど、ミーハーだから千と千尋の神隠しが舞台化するなんて凄いじゃん!と思って。実に浅はかである。

そんなちょっぴり能天気な侵入者にも動じず、へぇ〜面白そうだね!だなんて、案の定、自分のベッドに寝っ転がったままスマホのパズルゲームをしつつ、私の話を聞いてくれる母。きっと、どこにいても私がよく話しかけてくるから慣れたのだろう。

そんな母は、多方面に自分の興味の矢印を向かせることの出来る人だ。そして、オタク気質ではないもののイベントが大好きな人でもあった。だから楽しそうなイベントがあると必ず参加する。世間様によく名の知れた有名人が出るとなったら尚更。私はそれをよく知っていた。

だから誘ってみた。

『千と千尋の神隠しの舞台、観に行こうよ!』

『誰が出るの〜』

『夏木マリさんが湯婆婆!千尋役は上白石萌音ちゃんと橋本環奈ちゃんが演じます!』

『え!夏木マリさん…!?』

『そう!夏木マリさん!!!』

ほら、食いついた。

『観たいね〜!』

『観よ観よ!千尋どうしよ、恋つづ(ドラマ)の時とか可愛かったし萌音ちゃんの回でもいい?』

『良いよ〜!』

『じゃあ夏木マリさんと上白石萌音ちゃんの回のチケット、頑張って取ってみま〜す!』

『よろしく〜!』

こうして、フッ軽な母とミーハーな私の舞台・千と千尋の神隠しを観劇する約束は笑ってしまうくらいにあっさり、流れるように決まった。

後は、千と千尋の神隠しのチケットを取れるかどうか。それが問題だった。あんな流れるように約束は決まったが、なんせこの舞台は人気舞台。チケットを取る事がとてつもなく難しいと風の噂で聞いていた。だから、私のような誰かのファンクラブ会員でもない一般市民(ミーハー)がそんな舞台のチケットを取れるものなのか、正直不安だった。せっかく母と約束したのだから絶対観に行きたいけど、、、難しいかな、、、はぁ、、、なんて、哀愁たっぷりにため息を吐いたりするくらいに。


しかし、私は己のオタク力を舐めていた。


そう、私は元、某国民的女性アイドルグループのオタク。生粋のドルオタだった。だからかこういうチケットを取ると心に決める機会がある度に『絶対に取るぜ!!!』と燃え上がったオタク心を抑えることが出来ない性だった。もちろんそれでも当時、取れないチケットは沢山あったが。

とにかく、そうと決まれば黙っちゃいられない。燃え上がる根っからのオタク心に体を支配されたが如く、気持ち悪いほどの手際の良さでTwitterの千と千尋の神隠し公式アカウントをフォローし、そのアカウントがツイートする度に自分のスマホに通知がくる設定にした。こうしておけば、もし不意打ちでゲリラなチケット販売の情報がツイートされても気がつけるからだ。

これでもう、逃がさない。。。

そんなこんなして、案の定やってきたゲリラ販売のチャンスに食らいつき、夏木マリさんと上白石萌音ちゃんが出演する回のチケットを無事2枚手に入れた。さすが自分。だいぶキモいけどグッジョブ。

こうして私と母の舞台・千と千尋の神隠しの観劇予定が正式に決まった。

次回に続く。

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