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探してる

朝の空気は憂鬱と不安の味がして、それをかき消すようにパンを口いっぱい詰め込んだ
今日が昨日より優しい日であると確信はどこにも無かった
出来るだけ甘いイチゴのジャムを後から押し込んだ
嗚咽しそうなパンによる苦しさと優しくない今日という苦しさが混ざり、少しだけ落ち着いた

昨日が過ぎて今日が来て、また明日を迎える、永遠にその繰り返しだと思っている今はきっと未来からすれば幸せなのかも知れない
しかし欲深い私には変化のない退屈した毎日が苦しくて仕方ない
心がはねる瞬間は、電車で夕日と一緒に揺られたり、配りたくなるチョコレートを食べた時とか、新しい愛があることを知った時とか、そのくらいだった
朝の電車は嫌いだった、みんなが同じ方に向かっていくから
甘くないチョコレートは嫌いだった、美味しくないから
愛を知るまでの時間は嫌いだった、探している時は苦しいから

できればずっと、やさしい音楽と愛と甘いもので包まれていたい


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