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太極拳に於いて勁を会得する三つの道

太極拳に於いて、勁を会得する三つの道があると言われています。

その第一は、ひたすら套路を練って勁を自得させるという方法論です。
端的に言えば、武術的な気迫を持ってすれば型の独演だけでも十分に強くなるという考えです。それだけのものが型には含まれており、太極拳の套路そのものが最高の当身を作り出す土台となる、本来そういう套路であるとのとらえ方です。この套路独演の繰り返しによる自然的会得という第一の道とは、太極拳の場合、養命法が主、護身法は従と言えないことはありません。ただ、養命法としての太極拳が武術としての太極拳に劣っているわけでないとする捉え方もあります。また、養命法として練る自然な呼吸は、武術的にも価値があります。なぜなら、身体操作がそれだけ楽になるからです。

第二は、套路独演という主観的なシミュレーションと並行して、推手という対人相対練習の中で実際的な気力の運用、つまり発勁とか捌きの頸などを練るというものです。太極拳を専門的に練る楊派や呉派などの伝統的な会派では、このような練法が盛んです。
「套路を練るときは人無くて人あるが如く、人と手を交わすときは人有りて人無きが如し」という柔派拳法の拳訣があります。

第三は、稽古の際に、套路(型)を分解してお互いに実際にできるかどうか
を体で試す方法です。つまり、勁を会得する第三の道とは、武術にとって最も自然な試行実験の方法論であったということになります。

以上

参考文献:「発勁の秘伝と極意、笠尾恭二・平上信行共著、BABジャパン」




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