収戦道 (改編) Part 9 極意「一之当」
「一之当」とは禅(瞑想)の一種です。いわゆる「武禅または武術禅」と言われるものです。
下の写真は、いわゆる「入身当」ですが、形としては 「一之当」とほぼ同じものです。
※写真の状況説明: 相手が正面から斬り下ろして来るや、相手の側面に当身を入れつつ入身で入ります。
稽古の方法は、まず不動立ちにて前方1.8メートルくらいのところに、自分の鳩尾の高さの的を定めます。その的を入身をして上記写真のような入身当を左右交互に行います。
その際に、まず1.8メートル先の相手の正中線と自分の正中線を合わせるようにし、それが合ったら入身当を行います。これを只管(ただひたすら)に行います。故に、これを「只管入身当(しかんいりみあて)」と 言います。
禅では、ただひたすらに坐禅をすることを「只管打坐(しかんたざ)」と言いますが、それを武術に当てはめたのが、「只管入身当」です。
なお、この「只管入身当」は、相手の認識や予測をズラします。もう少し詳しく言うと、この「ズラす」という前に、「相手の攻撃意識」といった、目に見ることのできない想念に、自分の心を意識して「合わせ」ます。
つまり、「相手が前にでて攻撃してくるときに発生する“勢“」に自分の心を合わせにいく、というイメージです。
この相手の攻撃意識と合わさった状態から、自分は相手の攻撃線から外れる、つまり相手の予測をズラすわけです。
そうすると相手は「腑抜け」の状態となり、こちらの攻撃が可能となります。
極意 一之当 稽古次第の例
1 立禅 20分 + 揺 10回 1分 21分
2 拳振り当(平行立ち・左右交互) 5分
3 一之当の形(左右交互) 20分
4 拳統一力養成法(左右交互)各10秒×2set 1分
6 拳固め(左右交互) 20回 2分
7 やわらげ 3分
8 あまつかぜ 10回(左右交互) 1分
9 調息功 3回(最後に発勁を左右各1回) 1分
【所要時間 54分】
⚠️「一之当の形」の口伝:
1 不動立ち(外八字立ち)
2 両踵の間は拳3つ分、両爪先の間は拳4つ分開ける
3 足指で床を力強く掴む
4 体をグニャグニャにし、肩の力を抜く
5 自然体で立つ(踵、お尻、肩甲骨、後頭部を一直線にする)
6 重心は爪先、膝を軽く曲げる、骨盤を直立させる、目付けは相手の喉元
7 相手の正中線と自分の正中線を合わせてズラす
8 枕をおさえる(宮本武蔵・五輪書より)
9 入身して当身、これで倒れない場合は掌底顎当を入れて倒し、残心
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