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給食準備で「こら!!早く準備しなさい!」と言わなくなる仕掛け

 私は小学校の教員をしています。学級経営ではたくさん悩み、色々な方法を学び、実践する中で効果的な方法を模索してきました。
 このnoteでは自分が実践する中で、子どもにとっても教師にとってもハッピーだったものを紹介したいと思います。拙い実践ですので賛否両論あるかと思いますが、一つの選択肢だと思って読んでいただければと思いますし、どなたかの役に立てばと思っています。
 今回は私の学級で取り入れている「給食プロフェッショナル制度」について紹介します。この制度を取り入れてから、給食準備で「こら!!早く準備しなさい!」と声をあげる機会は各段に減りました。

1.給食プロフェッショナル制度とは

 この給食プロフェッショナル制度とは、簡単に言うと、給食準備を素早く丁寧に行うための取り組みです。この制度の目的は、もちろん給食準備を子どもたちで素早く丁寧にすることができる学級になることです。
 そして、それは毎日の準備をチームで協力する機会となり、学級としてまとまることに繋がります。

2.目的の共有

 この活動を始めるにあたって、まずは子どもたちと目的の共有をします。私は、給食準備が早く丁寧にできることのメリットとして、ゆっくり給食を食べることができることや、早く食べ始めることで休み時間が増えるという事を提示し、早く丁寧な準備を自分たちでできる学級を目指すという目的を共有しました。

3.協力とは分担すること

 例えば、注文してすぐに料理が届くお店をと言われたとき、マクドナルドや吉野家などが思い浮かびます。では、何故あんなにも早く料理が届くのか?そこには、それぞれの仕事を分担し、担当する場所のプロフェッショナルとして素早く丁寧に仕事を行なっているからのように思います。働いたことないですが…。
 例えば、盛り付けのプロがいて、一発で適量を盛り付けることができれば、格段に準備のスピードはあがります。
 1人でできるバケツの水汲みの仕事を2、3人でして負担を減らすことが協力ではなく、分担した仕事に責任を持ち、その仕事のプロになることがチームにおける協力であると考えています。これは、以前一緒に働いたことがある方の言葉ですが、協力とは分担することだということを子どもたちとも共有しておくことは大事です。
 また、自分の役割に責任を持ちつつ、周りを見て、役割を超えて活動をすることは良いことだということも伝えています。自分の行動が目的に繋がる行動であれば問題なしです。

4.仕事分担

 給食プロフェッショナル制度では、基本、学期間同じ仕事に取り組みます。そして、その仕事の精度を高めます。いろいろな仕事を経験した方が良いという意見もあるかもしれませんが、例えば、給食バケツの水汲みを経験しない一年があったとして、大きなマイナスにはならないと考えます。それよりも、責任を持った仕事の質を自分で考えてあげていく方がよっぽどプラスになります。
 さて、必要な仕事ですが、ある程度教師側も考えますが、子どもたちから早く準備するためにどんな仕事が必要か聞き出した上で希望をとります。私の学級では、給食ストロー分けなど細々としたものも出たため、それも仕事になっています。盛り付け担当もプロフェッショナルにしたかったのですがエプロン洗いなどの関係で許可がおりず断念しました。
 最初に決めた仕事から、必要だと思う仕事は追加してもいいですが、子どもたちが主体的になると勝手に動きはじめます。
 例えば、最初は教師が押していたストップウォッチも、いつの間にか子どもたちが押しています。

5.ゲーム性を大切に

 子どもたちの意欲が上がる一つに取り組みにゲーム性があることが大切だと思っています。クリアするとレベルが上がる。この喜びは意欲に繋がります。
 私の学級では、最初の目標タイムを「いただきます」までで10分としていました。これを小学5年生レベルとし、10分を12回クリアすると次のレベルに進めます。少しずつ基準タイムを厳しくし、世界一の給食準備ができる学級を目指しています。

6.定期的なジャブを打つ

 なんでもやらせっぱなしは、子どもたちの意欲を失わせてしまいます。ですので、適宜、指導という名のジャブは打ち、評価もします。
 例えば、なかなか目標タイムがクリアできていない時には、子どもたちの動きを時間ごとに記録して、どうしたら早くなるか考えるきっかけを与えます。
 教師がタイマーを押そうとすると時間を遅らせるために邪魔をする子がいた時、早さにこだわり過ぎたため丁寧さに欠けた時、そこでは、この取り組みの目的に立ち返らせるようにしました。
 サボっている子を頑張る子がカバーしすぎていたときには、素早く準備できたときの喜びの強さはどちらの方が大きいか問い、全体をそちらのマインドに持っていき、サボっている子がサボりにくい状況を作りました。
 気づいた時に細かなジャブはたくさん打っていますが、「こら!!早く準備しなさい!」の声は全くありません。

7.子どもの姿から

 二学期になり、安定した早さで準備をする子どもたちは、自分の役割を超えて、早く準備するために、できる事を探したり、声かけをしたりしています。4限目の授業が終了するて、勝手にタイマーをスタートし、準備を進めています。31人学級で今のところの最高タイムは6分50秒。まだ早くなりそうです。こうなってくるとジャブを打つ機会は格段に減りますから、教師も時間に余裕ができます。
 子どもたちは、準備を早く終えて「やったー!」、教師も怒らずにハッピーです。

 最後までお読み頂きありがとうございました。これは、いち教員の拙い教育実践ですが、どなたかの学級経営に立てればと思っています。
 ゲーム性を持たすための記録シートをつけておきますのでご自由にダウンロードして下さい。


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