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なつかしむ

動画のデータから、勝手にムービーを作ってくれるサービスがあります。写真を旅行記のように並べてくれるときもあります。

普段使っているスマホで、それが行われることもあり、家族が見ることは少なかったのですが、昨夜、成長記録と題した動画が編集されているのをダウンロードしているときに家族に発見されました。

映画のような音楽が付いて、様々な季節の動画が繋がれて、確かに娘はだんだんと大きくなっているような感じがします。たった数年の間に大きくなったんだなぁと感じ、気持ちが穏やかになって、いい作品を観た帰り道のような温かな心地でした。

それを、本人も見たのです。

かねてから小さい頃の写真を見たりするのは好きだったのですが、動画がつながったものは初めてのこと。これが、私なの?と言った驚きよりも、懐かしさや寂しさのような表情が強かったように見えました。

大きくなったね、と声をかけると、頷きはしたものの元気なく映像を見つめていましたが、だんだんと表情が崩れていきました。

またこのときに戻りたいんだよぅ。

そう言って、泣き出してしまったのです。

楽しい場面の映像ばかりだったからなのか、何となく叱られてしまうことの多かった1日だったからなのか、本当のところはわかりません。それにしても、幼い子どもでも懐かしいあの頃があって、しかも戻りたいなぁと思うのは意外でした。

これまでの経験で感じていたのは、小さな子どもを見ていると、常に「いま、ここ」でしかありません。いまを過ごすことで時間を使うことは、僕には発見でした。僕も子どものときには同じように思い、遊んでいたはずですが忘れて大人になってしまったようです。

「いま、ここ」は、いわゆる禅の思想であったりマインドフルネスに象徴されるような、現在に集中する考え方です。と、大人になるとこうして説明されるようになるくらいに、遠い存在なのかも知れません。

親になると、人間ってこうやって成長するのか、成長させているのか、と気付かされることが多くあります。それを直ちに仕事に活かすとかほかに応用してみるとか、そういった話題もありますが、今のところ僕には興味がありません。むしろ、発見を喜び、また子どもとの時間をもっと大切にしたいと思える、そんな出来事だった、と言うのが感想です。

娘は何度も何度も映像を見ていました。いろんな場所で笑ったり、喋ったりしている映像には、写真には記録できない「音」が記録されていました。

ふだん、意識して映像を残していませんが、たまにこういうのがあると嬉しいですね。

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