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一目涼然

新幹線が開通して、人気が高まる金沢。
旅人の玄関口、金沢駅も観光名所であり、訪れるたびに華やかさに心が躍る。

光あふれる構内を歩くと、30数年前の景色を思い出す。夏休み、祖父母に会うべく特急列車に何時間も乗って金沢に着いて、うす暗い構内を父と歩いていた。駅にはエアコンが設置されてなかったためか、蒸し暑かった。

ふと、見慣れない光を感じた。
通路の両脇に、大きなティッシュ箱を立てたようにガラスの塊が台に乗っている。えっ、えっ?キョロキョロする僕に、父が笑った。
「あれは氷だよ。冷たくしてるんだね。」

あれは、こおり!あんなに大きいの、見たことない!テンションは上がったけれど、どうも涼しくはなっていない。台に近づくと、足元は水びたし。貼り紙には「さわらないで」。確かに氷だけど、涼しくはなかった。お父さんは、何を言っているのだろう。

大人になった、いまなら分かる。
追憶する夏の金沢、涼しい思い出。

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