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たまたま、多摩の本 #書もつ

もう1ヶ月経っているけれど、文学フリマ東京で購入した本を紹介したい。

この作品も、右も左も分からないブースの森を彷徨っている時にたまたま見つけたのだった。飾り気のない白い表紙に、「多摩」の文字が躍っていた。

多摩地域は、東京の西部、23区から少し距離を置いた、いわゆる山側のあたりである。23区と区別して市部などと呼ばれることがあるが、その範囲はかなり広い。

僕が住んでいる稲城市もまた、東京の多摩地域で、神奈川県との県境がある。となりの川崎市にも多摩区という区があって、多摩地域の広さは計り知れない。

そんな多摩地域を舞台にして書かれた作品を読んで、その場所を訪れている紀行文を書かれている作品だった。

「読んだら行かなきゃ、多摩の本」
花本武

タイトルからして面白そうだったので、お店の方とあまり話しをせずに購入した。やっぱり驚いていた。

読んでみて、あれ?これどこかで読んだことがあるかも!と感じて、少し驚いた。申し訳ないことにお名前も存じていないし、広い多摩地域の何に載ってたのだろう。

あとがきに、その答えがあった。

多摩地域の地域限定で作られている雑誌「たまら・び」に掲載されていたということだった。その雑誌は、稲城に越してきてすぐに何冊かまとめて読んだ覚えがあった。

まさかその時の記憶に引っかかっているとは。

小説の舞台を巡るエッセイなのだけれど、大抵季節が逆転していたり、地元の書店で旅が終わるなど、特徴的だったのだ。

また道のりも程よく端折られており、地元の人にしか分からないようなマニアックさも、読んでいてニヤリとしてしまう。地域限定の良さだし、作品を知っている人に向けて書いてあるのだから、それでいいのだろう。

この作品を読んでいると、やはりひとりで歩くよりもふたりで歩くほうが楽しいし、発見もありそうだと思った。相手の感想や、もしかしたら知っていることがあって、話が広がるだろう。

ちなみに、稲城には作家の浅田次郎が住んでいた時期があり、いくつか稲城を舞台にしたと思われる作品がある。場所を知っていると、作家と同じ場所にいるような感覚になる。とはいえ、旧日本軍の埋蔵金の隠し場所だとか母に棄てられた場所だとか、穏やかではないけれど。

多摩地域とひとくくりにしてしまうが、やはり街には個性があって、その個性をうまく作品にしているように感じられた。

紹介されていた多摩の本たちは、ほとんど読んだことがなかった。しかし、知らない場所を言葉で知ることで、本当の景色を確かめてみたくなる。そして、自分の街も歩いてみようと思った。


多摩の街で、たまたま見上げた木の上に、タマという名の猫がたたずんでおりました。なサムネイル、infocusさんにも楽しんで作っていただきました。ダジャレの魔力…!


#文フリで買った本 #多摩 #散歩  




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