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蕎麦屋と寿司屋の地元感

ランチを食べる店は、僕は結構こだわってしまう。それは、美味しさもさることながら、店内の雰囲気が大事だと考えているからだ。

金額の多寡でおいしさが決まっているならば、あとはお金で買えない雰囲気は、良い方がいいのだ。

それにしても、まずは店に入ってみないとその雰囲気は掴めないから、気になったらとにかく入ってみる。入ってみて「こりゃダメだ」と思って、すぐに出てくることもある。

とはいえ、今の職場の周りにはあまりお店がない。大きな企業の工場と、公園と、河川敷が広がっている。

ある日、午後から休みを取ることにして、駅まで帰る道すがら、表通りから少し入った通りにあった蕎麦屋に入った。

昔ながらの店構えで、綺麗でもおしゃれでもない。ザ蕎麦屋である。ランチどきで、店内から漏れ聞こえる「おじさんの笑い声」は、ちょっとした目印になる。

少なくとも、笑えるお店なのだと。

時々、笑えないお店がある。店主が怖めとか、テレビがうるさいとか、常連がやかましいとか。そもそもお客さんがいないこともある。

入ってみると、ほとんどの席が埋まっていて、同じ作業着で座る者たちや、真っ赤な顔して新聞を眺めているオヤジが鎮座していた。

おばあちゃんと呼べるような方もひとりでおり、小上がりには家族連れもいた。

常連らしい客の賑やかさと、仕事で近くに来ている者たちの開放感が相まって、なかなか賑やかな店内だった。


また別の日、職場から歩いて10分くらいかかる場所にある寿司屋に入った。こちらは笑い声などせず、店内もカウンター席に客が2人だけだった。

値段は外の「ランチメニュー」で確認しているので問題ないが、人が少ないのはちょっと不安でもある。

席に案内されると、ちょっと驚いてしまったが、水を出してくれるおじさんと、しばらくして味噌汁を出してくれるおばさんがいた。もちろん店員さんである。

お客と店員の数が同じであった。しかも、おじさんはポロシャツ姿で、反対側に座っている客のようだった。


どちらのお店でも感じたのは、そこに住んでいる人たちが使っている店という独特の雰囲気だった。”気安い”と言うのか、緊張せずにいられる不思議な空間だった。

そして、どちらの店もちゃんと美味しかった。綺麗でおしゃれなお店でたべるランチもきっと美味しいのだけれど、地元に根ざしたお店の安心感は、そこにいないと感じられないはずだ。

モリモリと食べなくても、いい年齢になったということもあるだろうけれど、とにかく、適正価格という言葉が浮かんでいたのだ。

ガヤガヤと賑やかな中で、常連さんと店員さんの掛け合いは楽しい。言葉の少ない職人さんと、独り言をいう客(僕ではない)の間に漂うちょっとした緊張感も、側から見ていると面白いのである。


次なる目標は、職場の近所にある”まち中華”の、ランチならぬ”夕食”を食べること。ランチのようにAとBのセットがあって、帰り道に入り口脇に張り紙がしてあって、いつも気になるのだ。


#ランチ #地元感 #店内 #雰囲気

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