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キッシュと自転車

地域にある線路の高架下スペースに出来た“場”で、地域の人が集まってご飯を食べる会の記事を書いてから1年が経とうとしています。

この間、僕たち家族には新しい命が生まれ、そして新型ウイルスの影響によって、会そのものが開かれることなく数ヶ月が経ってしまいました。毎月1回、この記事では2年続いている・・普段通りならば、3年続いていたところでした。

この会に持ち込むために、開催日の朝に焼いていたキッシュも、いまではほとんど焼くことが無くなってしまいました。僕がキッシュを焼くのは、人が集まる場に行くときが殆どなので、”もちもち食堂”だけでなく、色々な機会が自粛されていくなかで、キッシュを焼く機会も減っているのです。

思えば、昨年の10月に、下の子が生まれた時には、確か退院したてということもあって、それまで家族全員で参加していた会でしたが、初めて僕と上の子だけで参加した記憶があります。

妻や本人がいないところでしたが、参加された方々からお祝いの言葉をいただいたり、安心していただいたりして、本当にありがたい経験でした。その1ヶ月後の会では、早々と家族全員で参加することが叶い、赤ちゃんも“もちもち食堂”デビューしました。

なかなか状況が展開しない中で、春を迎え、夏が来ました。

その会に参加していた方から、「子ども用の自転車を渡したい」という連絡をいただきました。そういえば、年末の会の時に「子どもが新しい自転車買った時には、前の自転車に乗ってもらえるかなぁ」と嬉しい申し出をいただいていたのでした。当時(と言っても9か月前ですが)は夏まで待つのは長いなぁ、なんて思っていたのですが、不本意にあっという間に夏になってしまっていました。

せっかくだから、自転車渡すときにみんなでピクニックしようか、という話になり、いつも会をやっている場所で、昼間に会うことになりました。妻から「キッシュ焼くんでしょ?」と聞かれるまで、キッシュを焼く機会だったことに気がつかず、急に不安になってしまいました。

ただ、当日の朝になってやってみると、自転車の乗り方と同じように、手順は身体にしみついていて、作業はスムーズでした。

久しぶりに焼いたこともあって、とろけるチーズのストックが無かったことに気がつかず、たまたま冷蔵庫にあったキャンディチーズを刻んで載せて焼く対応でした。何度焼いても、これで完璧というものが出来ていないキッシュは、まだまだ伸びしろがあるなぁと思います。

私たち家族のように、自転車の持ち主の子も、会の常連さんです。いつもキッシュを美味しそうに食べてくれて、「キッシュ屋さん、作ったら?」と言ってくれたり、子と遊んでくれたりして本当に嬉しい存在。

この会がなければ、こういう出会いもなかったわけで、つくづく運営されている方の苦労と、偶然のすばらしさに感謝せずにはいられません。

ピクニックの時間、子ども用自転車の授受もつつがなく終わり、それぞれが持ってきた食事を広げました。取り分けるでもなく、家族ごとに食べるようにしていましたが、焼いてきたキッシュを渡すと歓声を上げてくれました。会でも、楽しみにしてくれている方から声があがるのは、とても励みになります。

毎回、食べてもらえるまで不安なのですが、この時も同じでした。

でも、ご家族で美味しそうに頬張ってくれたのを見られて、最高の瞬間でした。子どもたちは、ミニ“もちもち食堂”みたいだねと言っていたのも、とても印象的でした。

子は、新しく手に入った自転車に乗り、毎日のように公園に繰り出しています。炎天下でも、少し漕ぐと高架下に入ることができて、広場では誰かがいて、同じくらいの子も遊んでいることが多いのです。

昼間は、そんな風に多くの人が賑やかに遊んでいますが、夜になると静かな高架下に。

いつも、“もちもち食堂“がある日には、夜になると部屋の電気が灯って、子どもたちが外で遊びまわっている声がしていました。子が「今日はパーティーだね!」と、いつも楽しみにしていた”もちもち食堂“に、また家族みんなで参加したいのです。

#また乾杯しよう

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、僕だけでなく家族で喜びます!