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10年カフェ

私たち家族にとって、大切な場所となっている西国分寺のクルミドコーヒー。開店から10周年を迎えたのは去年のこと。

僕の「カフェ」生活は、このカフェから始まっているように感じています。あ、でも、生活というほどカフェに入り浸っているわけでもないし、カフェの何たるかを学んだわけでもありません。

単に、カフェという空間がとても好きなのです。そういう場所が好きな自分に気がついたのが、ここ、“クルミド”だったという感じです。

その年によって頻度の差はありつつも、おおむね季節ごとに足を運び、妻とふたりで行くのがほとんどでしたが、ひとりの時もあるし、そして子どもが生まれて3人で行くことも。

クルミドを知っていたのは妻だったので、僕は妻から教えてもらって、知りました。

特に好きなメニューは「くるみパフェ」。

国産のくるみを使った、様々な「おやつ」たちの組み合わせは、年々変化しています。記録があるわけではないのですが、少なからず年を重ねるごとに、パフェの内容にも変化があり、店側からの提案がある気がします。



パフェの語源は「パーフェクト(完璧)」だと何かの本で読んだことがあります。パフェグラスを想像してみて、底から上がっていくとすると、

・・・ゼリー、ムース、ソース、クランチ、クリーム、スポンジ、アイスクリーム、焼き菓子、そして場合によっては花火・・・
好きすぎて、もりもりになっています(笑)。でも、パフェってそんな感じ。洋服で言ったら異素材ミックス的な、おやつたちを集めて積み重ねたような。見た目にも、驚きがあるのがパフェの良さでもあると思います。

そんなことを考えると、クルミドの「くるみパフェ」は、すごいと思うのです。だって、「くるみ」は地味な外見で、ジューシーでもなく、甘くもない。たった1種類のナッツがメインだなんて大丈夫なの?と、半信半疑で食べ進めた数年前から、毎年その思いは消えずにあります。

 美味しくて食べるのが楽しみなメニューである一方で、客としては不安もあって、「今年もくるみパフェやります」という報せにホッとしたりしています。 

話しをカフェに戻してみると、クルミドに行ったことのある方なら、その雰囲気や、特徴的な座席配置などがわかるかと思います。大きな窓のある席、半地下で大きなテーブルを囲む席、秘密基地のような席。

回を重ねるごとに、座席として時間を過ごす場所が変わることになります。広いフロアに整然と座席があって、ざわざわした空気のある空間とは違って、同席したお客さんとの微妙な距離感を感じつつも、自分や自分たちの空間を楽しむ、僕はそういう風に感じながら、クルミドにいることが多いのです。

 僕にとって、良い空間だな、と思える場所はあまり多くありません。あとになって気がついたり、何かと比べてみたりして、気がつくことはあるけど、絶対的に「良い」と思えることは、決して多くはないし、個人的な基準みたいなものは、かなり狭い範囲しかないように感じるのです。


初めてお店に入った時の、ふわっとした緊張感が忘れられません。
それは、未知なる場所への不安でもあったし、木の存在感を強く感じた温かみでもありました。なにより「いい場所だから、一緒に行こう」という言葉への期待があったのだと、今は思います。

 逆説的ですが、クルミドで体験したことすべてが、「良い」ということではありません。メニューが消えてしまったり、味が変化したりして、「残念」と感じたこともあります。

待ち時間が長くて、席につくのを諦めたことも何度もあります。

それでも、またクルミドに行きたいと思えるのは、場所の良さ。店主の本を読んで「そうそう」と頷いてみたり、新しいメニューに「おおっ!」と驚いたり、いつものメニューで安心してみたり。

 

成長なのか継続なのか、人によって評価は分かれると思いますが、変化することを恐れずに、提案を続けている。

かたや、頑なに守り続けているものもある。

そんなクルミドで、これからも、僕や僕たち家族の大切な場所として、一緒に過ごしていきたいし、勝手ながら見守りたいし、見守られたいと思うのでした。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、子どもたちのおやつ代に充てます。 これまでの記録などhttps://note.com/monbon/n/nfb1fb73686fd