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読書しても無意味な私。

娘は本が大好きだ。
暇さえあれば本を読んでいる。きっと夫の遺伝子だろう。
昨夜も何やら楽しそうに2人は本を挟んで話し込んでいた。

そんな2人の側で、私はおもちゃの剣で次男に何度も殺されていた。
大げさに死ななければ満足しない次男のため、断末魔をあげながら膝から崩れ落ちていく私。

そんな私に罵声が飛ぶ。

娘「ママ!!うるさいんだけど!」

娘に罵倒され、次男とお絵かきでもしようと椅子に座って思った。
私も一応読書はするけど、あんな風に読んだ本について誰かと語り合ったことはない。羨ましい。

よくよく考えてみると、昔から本好きの友人はいなかった。私自身、子もどもの頃は外遊びが専門だったし、中学は部活、高校はバイトに夜遊びばかりしていた。
それでも周りに比べたら、本は読んでいたはずだ。
あれは高校生3年の頃だったと思う。夜な夜なクラブに出かけ、飲むでも踊るでもなく、当時主食だった赤川次郎のシリーズ本をチカチカするディスコボールの下でむさぼるように読んでいたのを覚えているもの。
未だに難読本なんて読める読書力は皆無だが、それでもいろんなジャンルの本を読むことを心がけている。

お絵かきをしていた次男が言った。

次男「ママ、僕の絵何に見える?」

私「バケツかな?」

次男「トイレだよ」

私「そっかートイレか!」

次男「俺にはトイレにしかみえないのに、どうしてママにはバケツにみえるのかな?」

私「うーん。なんでだろうね!不思議だね!でも、人によって見方が変わる絵って楽しいね!なぞなぞみたい。そうすると、この場合ママの負けだ。」

子どもだましの回答だと分かっていたが、するりと口から出たのはきっと読書習慣のたまもの。嬉しかった私は夫に自慢した。

私「やっぱり答えがすぐ出てくるって、普段の読書習慣のおかげなのかな?凄いよね。わたし。」

同意してくれると思ったら夫が言った。

夫「おい、お前。お前は自分がどんな本読んでるか理解したうえで、それ言ってんだよな?」

ハッとした。Kindle書籍のことだ。

ニュージーランドの本屋に日本の書籍は置いてない。あまり種類は多くないが図書館で借りるか、電子書籍を購入して読むしかない。
夫と私はKindleアカウントを共有しているため、読んでいる本はお互い見ることができる。

Kindle端末の電源を入れて、ダウンロードした書籍を確認した。

「熟女売春」

「熟女買春」に始まった私のコレクションには「おさんぽJK」「女子大生のパパ活」「出会い喫茶」そんな内容の書籍が続いていた。

そう、全部売春だ。

ちょっと前に興味本位で読んだ若者世界の本(ぬいぐるみペニスショックを知った書物)で社会問題として取り上げられていた「立ちんぼ」を知ったのが始まりだった。立ちんぼの後、関心は移り変わり、トー横キッズ、女子高生の裏社会、パパ活などを経て今現在の「熟女売春」になったのだと思う。

夫の言う通りだ、こんな内容の本を読んでいて何が読書習慣だ。Kindle端末を床に投げ捨て、熟女売春に興味をもった自分をごまかすため、自己啓発本に手を伸ばした。

横目でそれを見ていた夫がまた言った。

「おい、お前。頼むから自己啓発本も読まないでくれ。また、奇行を繰り返すつもりか。」

そう、私は自己啓発本を読んでは奇行を繰り返す女。
「恥を恐れるな」と言われれば進んで恥をかきに外界に赴く、「悩んだ時は難しい道を選べ」と言われれば、何十年も運転していないマニュアル車だって運転してしまう。自己肯定感をあげようと無謀な挑戦を繰り返し周囲に迷惑をかける。もちろん自己肯定感は下がるだけ。

己の奇行を思い出し、さらに恥ずかしくなった私は、最近読みはじめたばかりのホラー小説を手にした。
すると夫がまた早口で言った。

「おい、お前。それも読むな。読むなら今日からお前がリビングで寝ろ。そしてトイレに一人で行けないと俺を起こしたらお前を明日から熟女売春婦と呼ぶぞ!!」

小学生かよ、夫。

私の興味は移り変わりやすい。最近は売春から少しづつホラー小説(危険な遊びシリーズ)へと移行している。そのため、暗闇に怯え、電気をつけていなければ夜は怖くて眠むれない。そんな生活をここ数日おくっているため、明るい夜に耐えきれなくなった夫はリビングで寝ているのだ。小学生は私だった。

読書はインプットしたらアウトプットすると知識がより身につくと言われている。簡単なアウトプットは本で学んだことを人に伝えるだけでもいいらしい。同時にアウトプットされた人の心にも何か残せるかもしれない。

「熟女売春」から得た知識を一つだけアウトプットするとしたら、昨今のAV出演料は激安だということ。

誰かの心が動いただろうか。
身につけたい知識だっただろうか。

この世には本を読んで人様に迷惑をかける人間だっているのだ。

だから、こんな私の書いた文章を読んでいただいても、みなさんが得るものは何もないのです。

今日も、大変申し訳ありませんでした。
そして素敵な一日をお過ごし下さい。










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