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オシャレな人は試着室で何してる?

 先月、銀座の「ドーバーストリートマーケット」で、世界的デザイナー コム・デ・ギャルソンの川久保玲社長をお見かけした。黒髪、黒いサングラス、黒いワンピース。すれ違ってごあいさつしただけだったけど、「ただものではないオーラ」を持つ人は5メートル先でもそれとわかる。デザイナーの菊池武夫氏も、失礼ながらテリー伊藤さんに似ていなくもない。(すみません)でも、タケ先生はタケ先生で他のだれでもない、強烈な個性が独特のオーラを放っている。

 試しに私の周りの「すごくおしゃれ」と思う人を何人か思い浮かべてみると、いわゆる美人やイケメンは一人もいない。エラがすごくはっていたり、体のわりに顔が大きかったり。それなのに彼や彼女たちは、会うとしばらく目が離せないほど文句なくおしゃれでかっこいい。そして欠点を絶対に隠そうとしない。むしろさらけ出して堂々としている。

シークレットブーツを履いたり、本来後頭部にある髪を無理やり前に持ってきておでこ周辺に貼り付けたりすると、「隠したい」という思いがかえって目立ち、「気にしてます」が強調される。それはその人をますますオシャレな印象から遠ざけてしまう気がする。欠点を含め、自分という素材をどれだけ際立たせるかが、本当のおしゃれなんだ、とつくづく思う。

 とはいえアラフォー以降は、体のラインに悩み事が増えるお年頃だ。ついつい体型カバーを意識して、ヒップがかくれるニットなんかを選びがちだけど、たっぷりヒップに、たっぷりニットがかぶさると、ますますもっさり大きく見える。だけどやっぱり欠点が気になるの、という人は、「どんな服を選ぶか?」よりも「どんなサイズの服を選ぶか?」をより意識するといいと思う。なぜならトータルでバランスのいいスタイルは、長所を強調し欠点を目立たなくするからだ。

 典型的なのがユニクロニット選び。サイズ選びが間違ってる人を、本当によく見かける。例えば、ふくよかでバストが大きい人が、無造作に「M」サイズを着ると、たいてい座ったときに、胸の下にもう一段肉のかたまりが盛りあがる。その腹回りのもたついた肉を、ぴったりしたニットがもれなくひろってしまい、まるでバストが4つあるように見える。こんなときは、上半身は体につかず離れずくらいのゆったりめのニットを選び、下半身を張りのある生地のタイトめなスカートでほっそりさせたほうが、ずっとスタイル良く見える。

 ちなみに私は肉のついた丸顔がコンプレックスなのだけど、貧乳が幸いして首から胸のラインが適度にあいた服を着ると、少しほっそり見える。だからニットを買うときは「S」「M」「L」3サイズを持って試着室に入る。すると、あるときは「L」の方が、鎖骨が見え縦ラインが強調されてスタイル良く見えることもあれば、「S」を選んだほうが、上半身がスッキリコンパクトにまとまる場合もある。「Mじゃない!」と思うことが本当によくあるのだ。

 試着室の中で私は、膝を曲げて屈伸したり、肩を中に入れ前かがみになるボディービルダーのポーズもしてみる。動くことで、丈が短くて背中が出たり、脇の下がだぶついて太って見えるなどの欠点がわかるからだ。だから試着は1アイテム決めるのに10分以上はかかる。試着室の中は、いつでもガチな戦いだ。

アパレルの展示会で、バイヤーさんたちがモデルに服を着て動いてもらい、細かくシルエットをチェックしている様子を見て、私はこういう「動く試着」の仕方を学んだ。

え?試着する時間がないときはどうするかって?

そういうときは、その日に服を買うのは諦めませんか。その日に無理に服を買うより、あなたがスタイル良く見えることのほうが、よっぽど大切。

「試着室では動きまわって真剣勝負!」それが平凡からオシャレに続く道。

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