『 あんたのタメに、教えてあげる。 』 (短編小説/超短編小説)

「 あんたって、本当にバカなんだから。」

「 えへへ、いつもありがと。」

私には、ペットみたいな友達がいる。

ほんとバカでさ

世間知らずのお姫様みたいなコ。

「 あんたのために、教えてあげるけど
    世の中には悪い人間もいるんだからね!」

はぁ。 ほんと疲れる。

また騙されてやんの。

「 そうかなぁ~? 悪い人には見えないもーん!」

はぁ。 めんどくさ。

どんな教育受けてきたんだよ。

まあ、しゃーない。
運命共同体。
腐れ縁てやつ。

「 いつも、ありがと。もう寝るね。」

たまに大人びてそういうあんたが
遠くに感じて、怖かった。

「 はいはい、また明日ね。電話切るよ。おやすみ。」

おやすみなんて言う相手

私には、あんたしかいないんだから

しっかりしてよ。



しばらくすると、あんたの彼氏から電話があって、あんたには関わるなって。


バカにするなって。
悪口を吹き込むなって。
毎日毎日、電話するなって。


「 どんな教育受けてきたんだよ。あんたのタメに、教えてあげるけど 」


最後の言葉はキツかった。


「 社交辞令ってやつなんだよ!」


多分、あんたの彼氏は良い奴なんだと思うけど

多分、私に気があるよ。

私のために教えてくれたんだから。

私が居ないと、ダメなあんたに

あんたのために、教えてあげないと。

はぁ、

ほんと疲れる。



ー完ー

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