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誰のための部屋なのか

伝統3の後半には、「メンバーであるために要求される唯一のことは、関係者または友達の中にアルコール依存症の問題を抱えた人がいるということだけである」とあります。この関係者という言葉には、私たちと血縁関係にある親子や配偶者だけでなく、何らかの関わりを持っている、あるいは過去に関わりを持っていた誰かのことも含まれます。これがメンバーになるための唯一の要件であり、申込みや会費の必要はなく、ただ自らミーティングに参加することが「メンバーになること」を意味します。私たちはその誰かの飲酒に影響を受けていることを認識し、それを共通の問題として共に解決を求め、回復を目指します。

誰かの飲酒が私たちにどのような力を及ぼし、変化や反応を起こしているのか、またその変化や反応の結果は人それぞれです。けれども家族がアルコホリズムの影響を(アルコホーリクの問題としてではなく)自分の問題として捉え、取り組むということはなかなか難しいことです。アルコホーリクが飲んでいる渦中であれば(そんなことしてる場合か)と思うし、ソーバーになれば(もう必要なし)と思うし、アルコホーリクと無縁の生活を送っていれば(思い出したくない)と思うのは当然であると思うからです。

私のアルコホリズムとのつながりの始まりは3歳の頃に遡ります。母と再婚し、父となった人が飲酒の問題を抱えていました。そして私自身も離婚し、アルコホーリクである現在の夫と再婚をします。それでも私がアラノンを訪れた理由は、『アラノンに来る理由』でも書いた通り、頓珍漢なものでした。余りにも近すぎる問題というのは自分には見えないものですね。

この部屋に入ることも、留まることも、出ることも、そのタイミングも、私たちが自由に決めることができます。アラノンプログラムが自分に必要であるかどうかは、誰かが判断することでもなく、何かのチェックリスト項目に当てはまるかどうかでもなく、私たち自身の選択であるのです。



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