アルコール依存症の女 抱いて

コンビニでリキッドファンデーションを買い、出勤前に首元のキスマークを隠すように塗りたくった。今さら無駄だろうけど。
 
あの晩セックスした男は、毎日「やらせろ」とメッセージを送ってくるのでブロックした。
名前も年齢も知らない男。

新しい職場に馴染めず業務にもついていけず叱られる毎日で鬱積していた。
そんなとき、前職で同じ部署にいたOさんからごはんのお誘いがあった。
Oさんはスーツとメガネがよく似合う細身の男性で、前職では私の中で2番目にかっこいいと位置付けている人だった。
そんなOさんからの誘いを断るわけがない。
会う日程を決め、その後もどうでもいいメッセージをOさんに送り続けた。律儀なOさんは必ず返事を返してくれた。

男日照りが続く私は、何を思ったか
「Oさん、私を抱いてください」と懇願した。
驚くことに、このときシラフだったのだ。
メッセージ上でもOさんは明らかに困惑していた。

お気に入りの下着をつけてOさんに会いに行った。何事もなかったかのようにOさんは私を焼き鳥屋に連れて行き乾杯した。が、Oさんのピッチは遅い。ある程度会話が弾んだところで
「実はこれから仕事があって。もう行かないと」と早々とお会計を済ませられた。
「駅まで送って行きますね」と紳士的な振る舞いで去って行ったOさん。

まだ早い時間、都会のど真ん中に1人取り残された私に飲む以外の選択肢はなかった。唯一の男友達に電話をし行きつけの居酒屋に来てもらった。
事情を全て話すと、彼は「男ってのは、あんまりストレートに来られると嫌なんよ」と煙草を吸いながら答えた。なるほど、納得。
いつもの如く自暴自棄になり、いも焼酎ロックを数えきれないほど飲んだ。 
目が覚めたら自分の部屋の床に、昨日のままの服装で寝転がっていた。いつ帰ってきたのか。

明日は遠方に住む友人に会いに行く予定があるのに起きれるのか。

余談だが、翌日からOさんの連絡は途切れた。


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