アルコール依存性の女 採用

新聞社の事務募集。事務未経験可。
時給は安かったが、フルタイムだったので迷わず応募した。
後日、電話があり面接に来てほしいとのことだった。面接で何を話そうか迷った。
新聞なんて学生以来読んでいないし、引きこもって酒ばかり飲んでいたから世の中の動きも分からない。

スーツも持っていないから、それっぽい装いで面接へ向かった。
案内された会議室に入ると男性が2人座っていた。「○○と申します。よろしくお願いいたします」丁寧に挨拶をし椅子に腰を下ろした。
この時かなり緊張していたので、何を聞かれどう答えたのかあまり覚えていない。
今までどんな仕事をしていたとか、正社員で働いたことはあるかとかそんなことを聞かれたんだと思う。
ただ、部長と名乗る男性が「戦争があっても仕事に来てもらわなあかんで」と鋭い目付きで私を見ながら言い放ったことははっきりと記憶している。

落ちただろうな。
そう思う明確な理由はなかったが面接後、落胆しながら帰路についた。
新聞社の見学に行ったと思えばいいや。

帰宅後すぐに採用の連絡があった。
年明けから来てほしいとのことだった。

仕事が決まった。
だが、この酒浸りの生活を何とかしないといけない。そんなことを考えながら、姉の家へ向かうため身支度をしているときだった。

手が震えてアイメイクが上手くできない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?