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天文宇宙検定にチャレンジした話②

天文宇宙検定を受ける、って決めた日から、長男は真面目に勉強をし始めた。公式テキストを読み、公式問題集を解く。長男は今まで自分が好きで学んできた天文宇宙知識があったので、最初はとてもスムーズであった。

こんなの、楽勝だよ!

って言ってたのだが、学習が進むにつれて状況が変わった。

彼が今まで学んでいたのは、あくまで自分が好きな分野だけである。自分が興味があるところはどこまでも掘り下げていたが、興味のないところは全く知識がない。ところが、検定を受けようとすると、受けるために網羅しなければならない範囲が決まっていて、その範囲が自分の得意なものだけとは限らない。

彼が目標を4級受かることに設定した時点で、受かるためにはやらなければいけない自分の苦手分野の勉強が出てきた。公式テキストを読んでも、いまいち意味が捉えられないところもある。読んでわかったつもりでも、公式問題集を解くと全く答えが違うこともある。長男はこうして、生まれて初めて、試験に受かるための勉強は自分が好きなことだけを追求していては間に合わない、ということを体感した。

そこで諦めるかと思いきや、違った。長男は知らないことを知りたいという知的欲求がもともと高いタイプである。回答が間違っていたことが何よりも悔しいタイプである。彼なりに頑張って勉強した。

もう寝よう、っていってベットに入っても、私の目を盗んでテキストを読むようになった。暗いところで読んだら目が悪くなるからなぁって思いながらも、寝る間を惜しんで勉強する姿に、私はちょっと感動した。何かに夢中になっている時って、寝食を忘れるものである。まだ小学4年生の長男にも、寝食を忘れるほどやりたいことができるなんて。。。ま、食べることを忘れることはなかったですけどね(笑)

学校の勉強はお座なり、授業もまともに受けられない、支援クラスで悠々自適にやっている我が家の自閉症・アスペルガー長男が、天文宇宙検定4級を取得したいっていう思いだけで、まさかこんなに勉強するなんて。星の成り立ちとか、太陽系がどうだとか、星座がどうだとか、そういう知識を今ため込んだところで、小学校の成績が爆あがりすることに直結するものはない。でも、それでもいい。いや、むしろそれでいい。本来学問とは、自分が学びたいものを問うということである。自分が学びたいものがはっきりとしているのであれば、それがわかるまで問い続けるまでである。年齢とか、学年とか、全く関係なく、長男は今、自分にとっての学問と向き合っている。そう考えたらもう、喜びしかなかった。

結果はどうであれ、ここまでして頑張った長男を誇りに思った。でも、ここまで頑張っているから、できれば合格させてあげたかった。試験1週間前からは、実際に試験で使われているマークシートの解答用紙を印刷してきて、マークシートの記述練習もした。

長男の受験場所の番号、受験番号の番号、マークシートの塗り潰しかた。何度も何度も練習した。いくら答えがあっていたとしても、マークシートの塗り潰し方がおかしいと、得点にならないということを、何度も何度も伝えながら。

そして、試験日前日の土曜を迎えた。1日家で復習することもできた。でも、ずっと今までテキストと向き合ってきたわけだから、息抜きも兼ねて、でも天文宇宙検定に役立つような知的体験をさせてあげたい。そうだ、JAXAへ行こう。思い立ってJAXAの見学を予約した。

続く。

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