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久しぶりだね、電王。【引きこもりJKが電王ベルトを手に入れて号泣した話、後編】

あれから数ヶ月。

私の精神疾患はどんどん悪化して、電王を観ることもできなくなった。

毎日ありとあらゆる情報が怖くて何もできない。

引きこもりを極め、高校を中退し女子高生ですらない謎の人間になり、いつの間にやら趣味さえ苦痛になった。



そんなある日、あの友だちがサプライズでこんなものをくれた。

CSMの電王ベルトの箱

CSM、大人向けの電王ベルト。
(私にとっては)とても高い。大人にとってもそこそこ高いのでは。
友だちからしたら、意を決したプレゼントだったと思う。
私にまた元気を出して電王を観てほしい、という気持ちがこもっていたんじゃないかな。

だけど、私はダメな奴だった。
ありがとう、と言ったけど、ちゃんと喜べなかった。
私にとってそのプレゼントは、足を失って走れなくなったマラソン選手にランニングシューズを渡すようなものだった。
先の見えない鬱々とした日々の中で、電王と再開したいけどできない日々の中で、CSM電王ベルトは私の心を苦しめた。
だけど、友だちは優しかった。
友だちの優しさを素直に受け取れなかった私に、「観られる時になったらまた一緒に観よう、何年後でもいい」と言ってくれた。



そう言われて、私は、自分の中で逆転していた何かに気がついた。 

ありがたいことに、上のnoteは多くの反応をいただけた。
だけど、それのせいで、私の中に少しの思い込みとプレッシャーと勘違いが生まれていた。

「ネットでネタバレ踏みたくないから早く観終わりたい」「SNSで感想を書いちゃいたいから電王取り敢えず完走したい」
本来なら自分のペースで楽しむはずの仮面ライダーに、私の中で義務感が生まれてしまっていた。

CSM電王ベルトは、一瞬だけ、私にさらなる義務感を与えた。
「これをくれた友だちのためにも電王一緒に観なきゃ」と。

だけど、すぐに大事なことに気付いた。

なんのために、私は電王を観ていたんだろう。
ワクワクするため、元気をもらうため、勇気をもらうため、明日も生きようと思うため、そうじゃなかったっけ?
電王ベルトをくれた友だちも、私が仮面ライダーと出会ったことを祝ってくれた優しい特撮界隈の先輩方も、きっとそれを喜んでくれていたんじゃないか。
私だけが間違った方向に進んで、それで苦痛に感じていたんじゃないか。


また、モモタロスに会いたいな。

自然とそう思って、私は友だちにこう言ってた。

「今夜、電王一話から観かえさない?」


久しぶりの電王は、それはそれは楽しくて。
オープニングの時点で、私は涙ぐんでしまった。
こんなにもワクワクできて、元気や勇気もらえて、明日を楽しみに思えるものがあった。私にはあった。


ありがとう電王。
ありがとう、大事な友だち、私に仮面ライダーの楽しさを教えてくれたみなさん、電王を生み出してくれた人たち。

また一話から見返してるから完走できるのはいつのことやらって感じですが、自分のペースで楽しみます。

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