ハンドメイドは心を創る

昔から、なにかを作ることが好きだった。
小学生の頃は、手芸クラブに入った。編み物も好きだったし、縫い物も好きだった。
特別に上手にできるわけじゃない。マフラーは作れるけど、セーターはできない。浴衣は作ったけれど、今はもうミシンすらうまく扱うことはできないだろう。

自分で働いたお金で、なにか習い事をしたいと思ったとき、フラワーアレンジメントを選んだのも、自分で作ったものを少しの間でもいいから、カタチに残しておきたかったんだと思う。
花はいつか枯れてしまうけれど、作ったものが部屋の片隅にたまっていかないという意味では、花のある日常生活も送ることができて、いろどりと季節を感じられていたと思う。同じ花を与えられ、テーマに沿って作っても、それぞれのセンスでかわり、全く同じものができることはない。

私は手先が器用ではない。はっきりいって不器用だ。ダンスで使う衣装や衣装ケースなど、そんなに難しいものじゃなくても、自分でミシンを引っ張り出して縫うのができない。手縫いでちゃちゃっとできるレベルで精一杯だ。

自分でなにかを作り上げる、そういうのにすごく憧れる。
そこに込められた想いは、作り手の熱い想いと願いがぎゅっと詰まっている。
ひかりのいしむろさん、心象風景さん、一重梅さん。私の大好きなハンドメイド作家さんたち。ひかりのいしむろさんのブレスレットは、腕にしているだけで心穏やかに過ごせる。心象風景さんのブックカバーは、本を読むよりもつい見入ってしまうくらい素敵だし、一重梅さんのアクセサリーは、こんな私でも女の子気分を楽しませてくれる。

自分でも、なにか作ってみたいと思うことはあるけれど、やってみたい! と思うものがなかった。なかった、っていうのとは少し違う。私が作ってみたいのは、やっぱり小説だったり、詩だったり、私自身の言葉で描く世界だった。

誰かに楽しんでもらえる小説。
誰かを元気にできる小説。
誰かを笑わせることのできる小説。

誰かの心に残る詩やエッセイ。
誰かを癒す詩やエッセイ。

私は、私の言葉で世界を創りたいし、その世界を大切に守っていきたい。

誰かをほんの少し、幸せな気持ちにできたら。
誰かをほんの少し、笑顔にできたら。
誰かをほんの少し、勇気づけられたら。
きっと、こんなに嬉しいことはないと思う。

ハンドメイドは、心を創ることだと思う。
言葉で世界を創るハンドメイドも、その手でなにかを創るハンドメイドも、心を創ること。
相手の笑顔を想像して、相手の想いを抱きしめて、ひとつひとつ想いを繋いでいく。だから、たったひとつしかないものは、とても愛おしい。

私はこの手でなにかを創ることは、きっとこの先もできないだろう。
だけど、言葉で世界を創ることは、きっとずっと続けていけるだろう。少なくても、私自身がそれを望んでいる間だけは、これからも変わりなく続けていきたい。

いつか、自分の作ったものを、自分の手でカタチにしてみようと思う。
それを本当に大切にしてくださる人に、届けていきたい。心を創り、繋いでいきたい。
私にしかできない心で、世界を創り、たったひとりでも、それを大切にしてくれたら、きっと嬉しいだろう。

なにも創ることのできない人はいない。
誰もが、生きている日常の中で、大切に心を創っている。大切な人を想う心には、優しい重味がある。

明日はなにを創ろうか?
どんな風に創ってみようか?
触れたくなるような、そんな心を感じてほしい。思わず手に取りたくなるような、そんな風に感じる世界を創りたい。


2020.3.24

画像1


いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。