出会いと別れを繰り返していく

人は、生まれてから、たくさんの人たちや物たちに出会う。
家族や親戚、友達、同級生、先生、先輩、後輩、同僚、上司、部下。それ以外にも出会いはたくさんある。
そのひとつひとつを、全て覚えていられる人は滅多にいないだろう。
そのひとつひとつを、全て大切な繋がりに変えることのできる人も滅多にいないだろう。

出会わなければよかった。そんな人はまずいないと、私は思っている。
どんなに苦手な人であっても、どんなに好きになれない相手だったとしても、私は出会わなければよかったとは思わない。
たくさんを語り合い、結局わかり合うことのできなかった人、決別するしかなかった人でも、やっぱり出会えてよかった、本心でそう思う。

本当に何もかもわかり合うことのできる相手は、きっと少ない。
自分とは違う何かを持ち合わせているのが、人間なのだ。だけどそれを受け入れなかったり、拒絶や否定するばかりでは、人は成長しない。なぜ受け入れることができないのか、なぜ否定するのか、それを考える。
きちんと考えることで、自分のことはもちろんのこと、相手のことも少し理解することができる。受け入れることができないなら、それはそれでいいのだと思う。受け入れることができるかどうか、きちんと考えた上での結論なら。

もう二度と顔も見たくない相手もいるし、お互いが分かり合えなくて決別したままの相手もいる。だけどそのことを、私は一度も後悔はしていないし、もう一度理解しあい、繋がりたいとは思わない。逆にこのままでいいと思っている。
そのように決別した相手とは、そのときの自分の感情を誤魔化して、気づかないふりをして、無理に付き合いを続けていったとしても、いつかその綻びから関係性が壊れてしまうのは当然のことなのだ。
本当にわかり合える、繋がりを大切にしたいと思う相手なら、とことん話すだろう。会話を重ね、言葉を重ね、想いを重ねる。それでダメなときもあるだろう。

私にも、実際にどんなに想いを伝えても、ダメだったときはあった。
でも、そんな風に決別するしかなかった相手でも、教わったことはたくさんあるのだ。それは、良いことも悪いことも、共感できることも、できないことも。
悪いこと、共感できないことなどは、それを自分自身がしないように、改めて考えるきっかけにもなったということ。
良いことや共感できることは、自分にもプラス方面に吸収できたはずだ。

このnoteの街を含め、ネットで知り合うことのできた人たち、または学生時代からの友人含め、リアルな世界で出会った人たち。
たくさんいる。日々繋がっているのは、ごく一部の人たちだけだ。でもそれは、決別とは違う。
お互い読み合って、励まし合っていた初期の頃の小説仲間も、今も書くことを続けているの人は、小説家になるという夢を叶えた人ばかり。
日常の忙しさは誰にもあるけれど、それだけではない何かが理由で、やめてしまった人もいるだろう。
でも、好きで始めたのだから、どこかで何かを書いていて欲しいと思うのだ。そしてまたいつか、言葉と言葉で出会えたらいいと思う。

ネットの世界で、とても素敵な詩を書いていた人がいた。
たくさんの曲を作り、その音色が鮮やかな世界を見せてくれた人がいた。
困ったとき、泣きたいとき、相談に乗ってくれた人がいた。
リアルな世界では、華麗なダンスを見せてくれる人がいた。
可愛らしい笑顔を見せてくれる人がいた。

自然消滅のように、連絡を取らなくなった人たちのことを、懐かしく思い出すことがある。
それも仕方のないことなのだろう。
私自身もまた、誰かにとっての「いつのまにか、連絡を取らなくなった人」であるのだから。
だけどひとつ言えるのは、私に素敵な影響を与え続けてくださった人たちは、私にとってとても大切な存在だったということだ。
できることなら、何度だって出会いたい。
何度だって、恋をできる。

出会わなければよかった、そんな風思う人はいない。
優しい出会いは、自分の心に優しさの灯りを灯してくれる。
悲しい出会いは、自分の心に強さという想いを育てていく。
私は、ひとりひとりとの、ひとつひとつの小さな出会いと別れを重ね、言葉で想いを紡いでいくのだ。

繋がりを大切にしたいと、よく私は言っているけれど、これは私自身がずっと繋がっていきたいと想う相手に対してだ。
出会わなければよかったと思わないということとは、また違う。出会うことで学ばせていただいたけどその人との関係を続けていきたいと思うかどうかは、また別問題なのだ。

あなたに出会えてよかった。
誰にだって言える。

あなたに出会えてよかった。
あなたに出会えたから、今の私がいます。

出会ってくれて、ありがとう。

2020.3.7

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。