レモンなんか買っちゃったし、とびきりのハイボールを作ろう

キンミヤの梅割り、とかいうものを頼んでみたらグラスから溢れるほどのキンミヤ焼酎にちょちょちょっと梅のシロップ?を垂らされただけではい完成〜とそのまま放っていかれた。恐る恐る口をつけてみるとちゃーんと飲みやすくなってしまっていたもんだから煽られるままに2杯目も空けていたらしく、朝起きたらところどころに穴の空いた記憶と愚鈍な内臓と壮絶な気持ち悪さだけが残っていた。

もう一生酒は飲まない。酒を何かで割る、という言葉の意味を辞書で引き直してください。四文屋よ、頼みます。





ところで二日酔いは本当にクソだけど、二日酔いから回復しつつある時のメンタリティってのは病みつきになるほど気持ちがよくて、なんだかんだ月一ぐらいでおんなじようなことを繰り返している気がする。

決して酔って記憶をスポーンと無くしたりはしないし、しっかり家に帰って化粧も落としてだいたい気持ち良く寝れるのに朝起きるとそこからがもうダメで、まずゲロ、水飲んでゲロ、ポカリ飲んでゲロ、水分を吸収できずに全て吐いてしまうのでどんどん脱水して指先はカサカサ、胃液は当たり前に全部吐くので後半はもう吐くものがなくなっていつも白い泡とかを吐いている。

泡を3回ぐらい吹いてなんとか吐き気が落ち着き始めたら、空腹感は感じるのでどうせ吐くだろうがもうどうにでもなれと思いながら乾燥ワカメを入れただけの濃ゆい味噌汁とかを作って飲む。

これが非常に美味しくて、ああこんな美味しいものまた吐いてしまいたくないなあと愛おしむように啜り切ると、それまでつんつるてんの死んだようだった胃にぐぐぐっとエンジンがかかったような感覚がして、その瞬間に勝利を確信する。





回復の狼煙が上がる。


身体中の酔っ払った細胞たちが頭をシャキンと切り替えて水分を欲し始める。応えるようにミネラルウォーターを注ぎ込む。胃がそろそろ自分、固形物もいけるかもしれませんと恐る恐る挙手してくれる。信じてサラダとかを作ってゆっくり食べてみる。腸の方もぐいぐい動き出して、前日の汚い居酒屋飯から僅かばかりでも栄養を搾り取ろうと奮起する。体がこんなにも頑張ってくれている、やれるぞ私。


どんどん体に力が入って背筋が伸びてきて、深い呼吸ができるようになって、もっと食べたいと自然と思う。体に負担をかけてしまったから優しいものをまた作りたい、心を込めて丁寧に、自分のために。ものを作るのはいい、皿をきれいに洗うのもいい。シャワー浴びたいな、タバコ臭い服も洗濯しよう。どうせなら眉毛もちょちょっと剃って、スクラブも使おう。あんだけ吐いたからか下腹がやけにぺたんとしている、この際もう少し痩せてみるか。


音楽はあれを聴きたい。頭が妙にしゃっきりしてきた、今日はサビだけ思いついた曲の続きが作れるかもしれない、いや文章の方が今ならすごいスピードで書ける気がする、新しい理論を勉強するのもいいかもしれない、このエネルギーを何に費やせばいい。めんどくさくて放置していた連絡もスケジュール調整も何がそんなにめんどくさかったのか思い出せない、こんなふうにテンション高めに、パパッと返してあげればいいだけなのに。今なら役所手続きだってコールセンターのクレーム対応だって鼻歌を歌いながらやれるかもしれない。



どうしよう!私今ならなんでもできる!







この全能感の虜である。

体の回復に、メンタルまで上向きに勢いよく引っ張り上げられる感覚。
それまで心に溜まっていたモヤモヤが自然と、酒と一緒に流れ出る感覚も感じる時がある。カタルシス。



世界が美しい。
大事なものや人に愛の言葉を注ぎ込みたい。
私は私でよかったとしみじみと思う。



立ち上がりは遅かったけど、たくさん頭を使って色々なことができたのでいい日になった。それに素晴らしく幸福な感情で満たされている。こんな日にうっとりと酒盃を傾け美酒に酔わないなんて嘘だ。







さて、1杯目は何にしますかね。


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