母の嘘

母は、私に、「ごみ収集のお兄さんたちは皆んな市の職員が順番にやっていて、午前中だけ作業でお昼には皆んなシャワーを浴びて夕方まで自由時間なのよ。」と言っていた。
齢50近い私が、藤沢市の南部収集センターに電話をかけて聞いたところ、そんな事は真っ赤な嘘で、ほとんどが委託業者のお兄さんたちだそうだ。
汚い仕事は全部ブルーカラーに押し付ける。
母の嘘も、現実も、やり場のない怒りで、涙で、胸がいっぱいになる。

追記

収集のお兄さんたちに、ペットボトルのお茶を渡したくてごみ収集車の後ろで作業している場に行った。
1日何も口にできないほどの、ものすごい匂いだった。
私は言葉を失った。
どうにか「これを飲んでください。」と、震える手でペットボトルを渡した。

震える体で、どうにかコンビニの小さなパン一個を豆乳で流し込んだ。

特養老人施設で、延々と汚物のついたオムツ替えをしているパートのおばさんたちでなく、ごみ収集のお兄さんたちでなく、その激しい臭気を嗅がないですむから、グルメだのなんだの言えるのだ。

今日の日を、忘れたくない。

号泣して涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔のまま、呆然としている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?