見出し画像

エリアデザインラボ #3

1 アートとまちづくり

 一見、関連の無いような”アート”と”まちづくり”について考えてみたいと思います。私は、”アート性”を持ってまちをつくっていくことが、非常に重要だと考えているので、どのような関連があるのか、説明してみたいと思います。

 アートとまちづくりの関係性がよく見えるのが、いわゆる地域アートです。近年は、瀬戸内国際芸術祭や大地の芸術祭、 Reborn-Art Festivalなど、大規模な国際芸術祭などが各地で開催されています。いずれも、「アートと地域の関係性」について問うものばかりで、心に刺さる物があります。

スクリーンショット 2021-09-01 21.37.40


 このような大規模な芸術祭は、観光産業と紐付き、地域経済にも大きく寄与します。しかし、何の文脈も人脈もない地域では、このようなことは起こりづらいものです。このような大規模のアートイベントでなくとも、地域で小さくアートとまちをつなぐ方法があります。

 例えば、2年ほど前に開催した「ふくしまArt&Craft見本市」は、福島で活動するアーティスト、クラフト作家、農家の方をお呼びして開催した、いわばプロ同士の見本市です。ここでは、作品の観賞と、商品・製品の観賞を一緒に行うことで、物をみる視点を変えることと、異業種の交わりの中から新たなビジネスを創出することを目的としました。実際、ここで出会った人同士から、新たな仕事が生まれています。

スクリーンショット 2021-09-01 21.39.02

 例えば、この会にきていた映像作家の方との繋がりから、昨年度の国見町のPR動画「ふたつの空と」ができました。一般的に行政が制作する観光PR動画と比べて、アート性があり、映像作家独自の視点での切り取り方、まちの表現の仕方が出ていて、国見町の魅力がより際立つ作品になっています。
 このように、その地域ならではのアートとまちの関係性づくりが、その後のまちに良い影響を与えていくと考えています。ここでいう”アート性”とは、「哲学があり、文化的であること」と定義しています。まちを作るときに、しっかりとしたコンセプトを持っていて、その土地ならではの文化が表現されることが大切だと考えています。

スクリーンショット 2021-09-01 21.39.23

スクリーンショット 2021-09-01 21.39.39


2 デザイン講座 「デザイン制作の流れ」

2021-08-22 エリアデザインラボ

 デザイン講座の1回目は、フリーランスデザイナーの高野侑美さんにお話しを伺いました。
 デザインと聞くと、何かグラフィックを作ることが仕事と思われがちですが、グラフィックを作る前の作業がとても大切で、ここがデザインの第一歩になります。
 例えば、「ある商品を売りたい」という目的があるとしたら、この目的を解決するための手段としてデザインがあるというふうに捉えてもらえればと思います。

 ざっくりとしたデザインのフローとしては、①目的・目標の設定→②情報のまとめ→ ③グラフィックなどをつくる→④完成、という流れになります。

まず、明確にコンセプトや目標を設定します。ここは、クライアントがすでに持っている場合もあれば、ない場合もあります。このうち、②の「情報のまとめ」作業をとても大切にしています。この情報のまとめ作業のことを「深掘りクエスチョン」と呼んでいますが、今日は、この部分をグループワークでやってみたいと思います。本当に届けたい人にはどうするのか。どんな背景で作られた?どんな人に手に取ってもらいたい?、よくあるチラシにしないためには?というように、どれだけ深掘りして情報を整理できるかによって、魅力が引き出されていきます。

 今回は、秋に開催予定の空想マルシェについて、そのコンセプトや過去の様子から、今年のチラシを作るという想定で、グループワークに取り組んでみましょう。

スクリーンショット 2021-09-01 21.55.29

■グループワーク

1 テーマ「空想マルシェの魅力はどんなところ?」
 どのような背景で作られたものなのか、どのような魅力に繋がっているのか等、上神田さんへ空想マルシェについて質問して、「空想マルシェ」とは何か深掘りをしてみましょう。

Q:空想マルシェは地域の繋がりを大切にしていると思うのだが、なぜ地域の人達と一緒に行うのか。
A:仮に外の人だけで主催したイベントの場合、イベントが終わった後に何も残らなくなってしまう。一時的なものではなく、地域経済の循環や作ったもの等、何か地域に残せないかという想いがあった。

Q:今回は対面ではなくオンラインでのイベントの開催を行う予定だが、どのようなやり方があるのか。どのようなターゲット、コンテンツの想定をしているのか。
A:現時点ではまだ決まっていない為、皆で話合いながら考えていく。収録や演劇やインタビューなどが挙げられている。

Q:主催者はどんな人に参加をして欲しいのか。前回はどんな人が参加していたか。
A:前回は出店者には声をかけてコーヒー屋さんや子供服を売っている人に声をかけて参加してもらっていた。

2 テーマ「魅せ方を考えてみよう」
 キャッチコピーやチラシのデザイン等で主催の目的や届ける相手が変わっていきます。イベントの見せ方やどのように届けたいのかイメージやデザインを考えてみましょう。

●温泉のイメージ。地域の人たちが掘ったところに皆んなで浸かりながら何かお話をすることで心が温まる。温泉に入ることで本音を吐いたりと、心地よい空間ならではできること。オンライン上でも、地域のものなどを食べながら、ものごとを共有していきたい。資源を人と見て、原石を発掘、磨いていく、それが想いに繋がるのではないか。

●人と人との繋がりを大切にしていきたい。去年の空想マルシェでは農家さんの取材を行い、その人や作物について背景に興味を持った。オンラインでもイベント後にも人と人が繋がるようにしていきたい。

●人の繋がりや暖かさが重要だと考え、その中でイベントのイメージをグループで共有する為に形から考えた。色:暖色 フォント:丸みを帯びた文字 モチーフ:木目などナチュラルなもの

文:上神田健太
書き起こし:富田理恵子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?