098.ホワイトノイズ [蟹座8度]
静かな場所だ。
いったいいつから、この場所にいたのだろう?
ずっと滝の音のような、川の音のようなものが聞こえていて、その音に一体化したようになって、ぼんやりしていた。
自分の形がわからなくなった。
かつては俺にも、形があったんだろうか?
多分そう思うんだが。
静かだ。
ずっと音は聞こえているのに、とても静かだ。
俺の目玉は物を見ている。
でもそれはもう、昔のようにじゃない。
俺が形をなくしたのと同時に、世界も変わってしまったようだ。
世界はただ不思議なリアリティを持って、目玉に写されているだけだ。
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