095.13日の金曜日 [Am アメリシウム] [蟹座5度]

自宅をリフォームすることになった。作業現場の偵察に行った私は、そこで恐るべき光景を目にした。

私のベッドが、縦に3分の1にカットされている。3分の2はすでに廃棄されたようだ。どうやら部屋を広く使うために、ベッドをスリム化したらしい。気に入って購入したフランスベッドだ。奮発して良いのを買った。それがこんなに無残な姿に……。目眩がした。

確かに部屋を広く使いたいとは言った。それは開放感を感じるインテリアにしてほしいといった意味であり、ベッドの幅を犠牲にしてまで実現されるべきものではない。常識的に考えれば分かるはずだ。


「なあ、どうやったらそんな狂った考え方ができるんだ?こんな細いベッドでどうやって眠るっていうんだ?」

私は作業員を問い詰めた。しかし、現場で作業にあたっているのはすべてバイト社員であるらしく、いくら責め立てても全く手応えがない。

「はあ……。そうっすね」

呑気な調子で答える。他人事だと思って真剣に考えるつもりがないのだろう。彼らは言われたことをただ何も考えずにやっているだけなのだ。話にならない。私は呼吸を整え、自らを落ち着かせた。

「責任者は、責任者はどこにいるんだ?」

怒りを抑えながら尋ねた。

「責任者って誰かなあ?キミたち知ってる?」

「さあ?」

「そういうのはよく分かんないね」

「考えたこともない」

「うん、俺も」

ひどい。今時こんなひどい会社があるだなんて。





私はランチにサラダを食べる。ヘルシーで健康にいいからだ。

店で出されたサラダにはプラスチックが混ざっていた。プラスチックのボウルを切り刻んだやつだ。

「なあ頼むよ、これはないだろ?なんでこんなことが起きたんだ?」

クレームを入れると、店員は首を傾げた。何が悪いのか理解していない様子だ。そしてまたしても責任者はどこにいるか分からないとのこと。

「なぜプラスチックが混ざる?理由を説明してくれ」

店員は原因究明のために、店の奥に戻った。

どいつもこいつも驚くほどにバカばっかりだ。常識もニュアンスも理解しない。1から10まで説明しないとわからないのか?


戻ってきた店員は、私に小さな紙を手渡した。

そこにはドレッシングのおすすめポイントがまとめられていた。

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