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〜ここにはないもの〜 #10





あの時のことは今でも鮮明に覚えている




??:え、いまなんて…?

飛鳥: だから…いいよ。

??:ほんとに?

飛鳥:なんで嘘つくのよ

??:そうだよね!うわぁ、よかったー

返事を聞いた俺は安心して笑みをこぼす
俺とは対照的に飛鳥はクールな表情をだった



飛鳥:なに?▲▲、自信なかったの?笑

▲▲:そりゃあないよ…

飛鳥:え?ダメって言われると思ってたの?

▲▲:あ、いやそう言うわけじゃないけど…

飛鳥:だ、と、し、た、ら、▲▲はもう少し自分に自信を持った方が良いよ。

▲▲:それって褒めてくれてるってことだよね?

飛鳥:さぁね笑

▲▲:なんだそれ笑


飛鳥:まぁ…▲▲にはずっと待たせてたし…

▲▲:まぁ、それは気にしなくていいよ

飛鳥:うん、気にしてない。

▲▲:うわっ、飛鳥はそういうところ、直した方が良いよ笑

飛鳥:ふふふ笑

▲▲:笑笑

飛鳥:ありがとね。

▲▲:いや、それはこっちのセリフ!

飛鳥:あ、そのことじゃなくて笑

▲▲:え?


飛鳥:ここを教えてくれて…


▲▲:あぁ、見晴らし台ね!

飛鳥:私、ここの景色が好き。

▲▲:うん、しってる。

飛鳥:ここだからOKにしたまである…かも笑

▲▲:そんな重要なのか…笑

飛鳥:毎日ここに来たいなぁ…

▲▲:それは流石に無理でしょ笑

飛鳥:毎日の散歩コースにする!

▲▲:階段大変そう…頑張ってね笑

飛鳥:一緒にいこうね

▲▲:そうなると思った笑

飛鳥:ねぇ…

▲▲:うん?

飛鳥:撮って欲しい…かも

▲▲:写真?

飛鳥:うん…

▲▲:珍しいね…飛鳥から言うなんて…

飛鳥:今日は特別だから…

▲▲:そうだね。

飛鳥:誰か来てくれたら一緒に撮れるんだけど…

▲▲:平日の午前中だから…とりあえず飛鳥撮るよ

飛鳥:うん…ありがと///


俺はインスタントカメラをポケットから取り出して、手すりの前に立つ飛鳥へと向けた


▲▲:撮るよ〜!

飛鳥:うん…


カシャ


▲▲:あれ?

飛鳥:んー、どしたのー?

〇〇:飛鳥、笑わないの?

飛鳥:うん、恥ずかしいから…これがいい。

▲▲: ……わかった




俺はこのとき、

照れ隠しする飛鳥をみて
ぜったいに幸せにすると心に誓った





〜ここにはないもの〜 #10




書斎

〇〇:なに、話って?

親父:これを、渡そうと思ってな…

〇〇:??


父が引き出しから出したのは母の写真だった


〇〇:これって…母さん!かなり若いね笑

親父:うん。これは〇〇が生まれる前だからな!

〇〇:場所は…見晴らし台?

親父:そう、昔はね、こんな感じだったんだよ。

〇〇:でもどうしてこれを?、形見分け…?

親父:まぁ…そんなところだな笑

〇〇:そういうことね…笑

親父:この写真はお母さんがお守りだって言うくらい大事なものだからな。

〇〇:お守り?自分の写真を…?

親父:そうだよ。

〇〇:なんでまた…

親父:見晴らし台はお母さんにとって、大切な思い出の場所…どうしてかわかるか?

〇〇:え…?毎日のルーティンだからとか?

親父:それもあるだろうがそれだけじゃないんだ…

〇〇:そうなの?

親父:まぁいつか分かる時がくるさ…

〇〇:なんだよ、それ笑

親父:このあと、墓参りっていってたな

〇〇:うん。(話変えられた)

親父:母さんによろしく伝えておいてくれ。

〇〇:あぁ…わかった。


僕は父にもらった母の写真をしまい、あやめの車でさくらと墓参りに向かった







……




齋藤家とかかれた墓の前でしゃがみ込み、僕とさくらは母に手を合わせた

〇〇:母さん、遅れてごめんね。

色々考えたりしてたら遅れちゃった…
意外と引きずらないかなって思ってたんだけど、、、ぜんぜんダメだった…

それはお父さんもあやめもだけど…笑

あ、隣にいるのは、
遠藤さくらさんといって僕の大切な人。


さくら:はじめまして、〇〇くんのお母さん。

遠藤さくらと申します。
〇〇くんとお付き合いさせていただいてます。

〇〇:母さん…
さくらのおかげで僕も家族も前を向けるようになったんだ。

あとさ…
ずっと言えなかったんだけど…

夢…叶わなかったわ…母さんの言うとおりぜんぜん無理だった。


さくら: ……



〇〇:でも今は東京のほうでね、ちゃんと仕事はしてるから!

梅澤さんっていう素敵な上司にたまたま出会ってさ、その人たちやさくらと同じ会社で一生懸命頑張ってるから!!!





〇〇:あ、お父さんがよろしくって言ってた
それとね、あやめの怒り方がお母さんにそっくりになってた笑
あれは将来、好きになった人は大変そう笑

あとは…

あとは…




今までありがとう。



あの…またくるから…。



母にお辞儀をして僕らは墓地を離れた


さくら:大丈夫…?

さくらは僕を心配してか、そっと横に並んで手を握ってくれた。
東京にいる時とは違い、僕は落ち着いて答えた

〇〇:ありがと、大丈夫。言わなきゃいけないことは言えたから。



さくら:よかった…

〇〇:戻ろうか。

さくら:ねぇ、〇〇くん…

〇〇:どうした?

さくら:まだ、時間あるかな?

〇〇:うん、まだ昼過ぎだし大丈夫だよ!どっか行きたいところでもあるの?

さくら:うん…///

〇〇:いいよ、どこでも笑

さくら:やった!!

助手席に乗ったさくらは、
ぱぁっと明るく笑顔見せ『ヨイショ』と小さい声で呟きながら楽しそうにシートベルトを締めた。

こっちもつられて笑みがこぼれていく


〇〇:はい、お嬢様 笑

さくら:お、お嬢様…///

〇〇:シートベルトはちゃんと締めましたか?笑

さくら:はいっ!締めましたっ笑

〇〇:よろしい!笑 

さくら:えへへっ笑

〇〇:では目的地をどうぞ!!!


どっかでお土産とかでも買うのかな…
海とか川とかにでも行きたいのかな…

そんなことを考えていたが、
さくらが行きたかった場所は少し予想外だった。

さくら:ほんとにどこでもいい?

〇〇:うん、いいよ!笑

さくら:私…"見晴らし台"に行ってみたい





次回…最終話

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