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〜ここにはないもの〜 #11 最終話


〇〇:あの見晴らし台?

さくら:うん。

〇〇:いいけど。どうして?

さくら:それは、え…えっと…///

〇〇:うん。(すっごいモジモジしてる笑)

さくら:も、もっと知りたくて…。

〇〇:あぁ、母さんのこと?

さくら:それもあるけど…

〇〇:うん…

さくら:〇〇くんをもっと知りたくて…///

〇〇: ……///

さくら:ご、ごめん。き、気持ち悪いよね…

〇〇:いや…

さくら:え?

〇〇:せっかくだから行こう、見晴らし台へ。僕もさくらに見てもらいたい。

さくら:うん///


僕たちは車で見晴らし台へと向かった






……




車を近くの駐車場に停め、
僕らは見晴らし台への階段を登り始めた。


〇〇:ゆっくりでいいよ。

さくら:うん…でも意外と登りやすいかも…

〇〇:確かに、7年前はもっと酷かったと思う笑

さくら:そうだったんだ 笑

〇〇:うん。

さくらの言うとおり7年振りのこの道は、
でこぼこしていると思っていたが意外と舗装されていて、むしろ登りやすくなっていた。

7〜8分程度登っていると、
僕らは見晴らし台へとたどり着いた。


さくら:ここが…

〇〇:うん、そう。

さくら:すごい…

〇〇:うん。


7年振りにみた見晴らし台からの景色
それはほとんどのものが変わっているけれど、それでも感慨深いものがあった



さくら:本当にすごい…


この何十年で木から鉄にかわった手すり
そこに手をかけてさくらは見晴らし台の景色を気持ちよさそうに眺めていた

〇〇:喜んでもらえて良かった。

さくら:うん、〇〇くんのお父さんとお母さんが好きな理由分かる気がする。

〇〇:うん…僕も分かる気がする…

さくら:あ、ごめんなさい…

〇〇:ううん、大丈夫だよ笑

さくら:うん。

〇〇:あ、そういえば、親父から僕が生まれる前の見晴らし台の写真貰ったんだけど、見る?

さくら:え、いいの?

〇〇:もちろん!


僕はバックから写真を撮り出し、
父から貰った母の写真をさくらに渡した。



さくら:すごい、今とぜんぜん違う…

〇〇:うん、昔は木の手すりだったみたいで景色も今と違うよね 笑

さくらがまじまじと写真を見る中、僕は見晴らし台の景色を眺めていた。


さくら:でも…お母さん本当にきれいだね。

〇〇:うん、でもお母さんさ、これお守りにしてたらしい。笑

さくら:そうなんだ…。でも分かる気がする…

〇〇:え?…どうして?

さくら:だって幸せな顔してる。

〇〇:えー、そうかなぁ…!!!?

さくら:うん。

〇〇:これって…

さくら:ど、どうしたの…


見晴らし台の景色から、
さくらの方へ視線を向けた時…

僕はあることに気づいた


〇月×…
見晴らし…



写真の裏面に文字が書かれていたのだ
なんとか全部を見ようとしたがさくらの手があって全ては見えなかった



〇〇:ごめん、さくら!写真貸して…

さくら:え、うん。

〇〇:これは…

さくら:どうしたの?

〇〇:な、なんでもない!

さくら:え、、、でも…


なんでと言われたら分からないけれど、直感でさくらには見えないように僕は写真の裏を見た


7年振りに見たけど
その文字には見覚えしかなかった…



 ○月×日
   見晴らし台にて…▲▲からプロポーズ。




それは紛れもなく"僕が大好きな母"の字だった





だから…




だから…ここが大切な思い出の場所





だから…親父はこの写真を僕に渡したんだ



だから…母はこの写真をお守りにしていたんだ



全ての点と点が交わった時
とある記憶が僕の中でフラッシュバックした




??:〇〇…!


"そばにあるしあわせより、
        遠くのしあわせ掴みなさい"


それは…母が僕にくれた最後の言葉



〜〜〜


寂しさよ 語りかけるな
心が折れそうになる
人間(ひと)は誰もみんな
孤独に弱い生き物だ

〜〜〜




さくら:〇〇くん、大丈夫…


〇〇:うん、大丈夫。もう決めたから。


さくら:え、決めた…?


〇〇:さくらに聞いてほしい事があるんだ!


さくら:え、う、うん…なに?


〇〇:さくら、あのさ…


さくら:うん…


〇〇:さくらがいなかったら、僕はちゃんと母さんとお別れが出来てなかった。


さくら:ううん、そんなことないよ。


〇〇:いつも隣にいてくれて本当にありがとう。


さくら:う、うん…わ、私こそ…///


〜〜〜



そばにあるしあわせより
遠くのしあわせ掴もう
君がいてくれたから
素敵なサヨナラを言える



〜〜〜




僕はバックから箱…リングケースを取り出した






〇〇:遠藤さくらさん…


夢とか未来を僕にください。
僕と結婚してください。






さくら: ……


〇〇: ……



さくら:ほんとに…?私でいいの?



〇〇:うん。さくらがいい…



さくら:"ずっと一緒に"幸せにしてください


〇〇:はい!


さくら:うぅ…ぐすっ…


リングケースから指輪を取り出し、
僕はそれをさくらの左手薬指にはめた。

さくらはしばらく涙が溢れていた



〇〇:待たせてごめんね…

さくら:ぐすっ…嬉しいからいい…

〇〇: …ありがとう。




さくら:あのね…

〇〇:うん、どうしたの?

さくら:今度からなにかあったらすぐに言ってね…

〇〇:うん。

さくら:さく、気付けないから…

〇〇:そんなことない…でもちゃんと言う。

さくら:うん。あとね…

〇〇:うん…




さくら:だんご…

〇〇:だんご?

さくら:いつも、さくの分しか買ってこない…

〇〇:え?うん。

さくら:一緒に食べるのが1番美味しいの…

〇〇: …わかった、今度から2人分買ってくる。

さくら:うん、あとね…

〇〇:うん。言いたいこと全部言って…




さくら:ずっと思ってるんだけどね…


〇〇:うん…


さくら:あのね…


〇〇:うん。


さくら:ずっとずっとね…


〇〇:うん…







さくら:大好き…///






〜〜〜


まだ見ぬ世界の先へ
夢とか未来を僕にくれないか?
ここにはないものを…

〜〜〜




〜ここにはないもの〜 #11 最終話


おわり。

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