アンブシュアという処方箋-その3 口笛を吹くように。
学生会館の通路で毎日ロングトーンを続けていた頃、当時はコンクール全国大会で一、二を争っていた吹奏楽部のトランペットたちも同じ場所で、練習していた。その中に、私より3つ上の学年のすごいハイノートヒッターがいて、どうしたらそんな音出せるんですか?って聞いたら、口笛を吹く感じなんだよと答えた。
その時は、アパチュアとか、息の出口を細くするとかの知識はなかったのだけれども、何となくその人が言っていることが理解できたし、そうなんだと思った。だけど、自分に口笛を吹くようなアンブシュアでラッパが吹ける気がしなくて、また、やってみたけれどもそんな真似はできなかった。
それから四十余年が過ぎて新しい唇をつくるにあたって、その口笛奏法はずっと頭の中にあった。
その1で書いたように、余計なプレスを避けて、唇を豊かな状態で唇の先を細くする、ということをこの数ヶ月続けているのだけど、気がついたらなんか口笛を吹く感じに近づいてる。
ああー、あの先輩が言ってたのって、こんな感じなんだな。
いや、まだそのようにできてるとは確信がないし、また、今のやり方が正しいのかもわからない。でも、以前は出しにくかった上のF以上が、まだ音は細いが割合軽く出せるようになってる。調子が良ければハイBやCまで出せる。その際にイキってたり、顔が赤くなるようなこともなく、自然体でできる。たぶん、これはいい方向なんだろうな。
ということで、しばらくこれが求めてた奏法なのかを続けて検証していくつもり。ただちょっと不安なのは、音が細く音程が不安定なこと、もしかしたらこれは粘膜奏法と呼ばれるものになっているのではないか、ということ。
結論
日夜いろいろ研究して、自分にとって正しいと思われるアンブシュアを求め続けることが大事だし、方法はそれしかない。
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