苦とか醜とか

醜くてもよかったのだ

美しくなくても、きれいでなくてもよかったのだ

他人が、自分自身が己の姿をどう評したとしても、それはそのままでよかったのだ

清く正しくあろうと「する」
ことはしなくてよかったのだ

道徳的であることに拘ることもやめよう

「こうでなければいけない」は
「こうなればよい」は
終わることなく全てを苦しめること

そのままでいることに、ただ安心していて大丈夫

大丈夫、そのままで誰も傷つけないし、堕落することもないから



気高くあることは、私の反抗であり、復讐だった

人類、この世に対しての

私はうんざりするほどの騒がしさを前に、ただ背筋をのばし、沈黙していることで自分を必死に保っていた

たとえ皆が不誠実で邪だったとしても、私は決してそうはならない

打ちのめされて、屈辱的で惨めだったとしても、心の美しさで私は彼らよりもずっと優れているのだと

ただただ精神だけで重たい体と現実を、鬼のように暴力的に引きずってここまで来たのだった


しかしもう限界

その姿勢をなかなか手放せなくて、強制的にストップがかかった

動けなくならないと、私は気づかない

なんとかでも出来ているうちは、出来ると判断して苦しくても続けてしまうのだから


私こそが私を苦しめていた

しかし私は自分が苦しんでいるという自覚がなかった

それより、なんでこんなことで傷ついてるの?なんでこんなことで病んでるの?おかしいでしょ、と思っていた

他人から見たら私はきっと怠け者でしかないのだろうな、社会の当たり前に逆らっている私のほうこそ間違ってるんだろうな

だから人には何も言いたくなかった

学校にも行けた、ごはんも食べられる、寝る場所だってあるのに…


しかし、私が苦しいと思っていたことは、みんな私の勝手な思い込みだったと分かってきた

全部自分で繰り広げてきたことでした!

誰も悪くなかったし、誰も私を傷つけやしないのだ、ほんとは

ただ、自ら閉ざした心の中で、勝手に苦しくなるような思い込みを醸造し続けていただけでした

出来事による傷や悔しさを払拭しようと、ひっくり返そうと、そこに固執して

そうやって、起きたことを、過去を変えようとしていたのだなあって


どうしても「負けている」私を受け入れたくなかったのだ

だけど、負けたと思ったことは負けではないし、そもそも勝ち負けなんてないのだし

今はそれが分かるから、全ての経験を「どうにもならないこと」を、あってよかったと、すーっと受け入れられるようになった

どうにもならないから苦しまなくてはいけないわけでもない

それをどうにかしなくては自分は駄目だなんて思わなくていい

どうにもならないことは「どうにかしなくてはならないことではない」んだと思う

思い通りにならないことはあってもよいのだ


ありのままを受け入れられるようになる課程で「ありのままで美しい」という表現を使ってきたけど

「美しい」ってわざわざ言わなくてもいいのかなって思っている今

「ありのまま」(以上)

ただそれだけなんだろうなって

人間としては美しいとか、素晴らしいって言いたくなるんだろうね(笑)

そのような言葉を加えることで「だから」それが「良い」んだっていうことになる


私は美しさに拘りすぎていた

美しいと言うとき、醜いという影を恐れていたことに気づいた

きれいにしておかなきゃ、汚さないようにしておかなきゃ…

自分の中に存在するものは、自分のまわりのものは

だから醜い、汚いと感じるとすこぶる機嫌が悪くなったり、苦しくなったりしていた


醜さを排することはできないと分かってはいたの

でも自分が汚れることが、悪くなることが怖かった

ほんとうは、他人に汚い、悪いと見えてしまうことが怖かったの

これは私の心の傷だね…

だけど他人のお喋りは、「私」の本質にとってどうってことない

それよりも、私が私を疑ったり、否定したり、見限ったりしないこと

そのほうが私にとってはずっと心強い


美しさは醜さであり、醜さは美しさなんだよ

最近思うようになったのだけど、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメはきっと同一の存在で

ほんとうは、二分されているわけではないんじゃないかと

対するように見えるものは、対してなんかなくて、ほんとうは同じ

生と死、光と闇と二分されているもの
片方は喜ばれるのに、片方が忌み嫌われるけれど

それをする限り、片方は脅威として、恐れとして、苦しみとして、ずーっとつきまとう

だから怖いもの、忌まわしいのもあってもいい

というか、ほんとうにそれは忌まわしいもの?

そう思うから、そうなっているし

社会的な、人間の都合でそういうことになってることもある

私はゴキブリが「悪い」とは思えないんだよなあ…

私もあなたも頑張ってるね、生きてるねって

ちょっとね、リスペクトすら感じる(笑)


怒ったり、悲しくなったり、拒絶したり、気持ち悪く感じることはある

それさえ、あっていいよねって今は思える

ひとつひとつが気づきのきっかけなんだよね

私はただ最善にいるよ
いつだって





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?