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祖母が一人で営んでいた、あの赤提灯に行ってみたい。

祖母(82歳)は、私が物心ついたころから

地元の駅前で小さな居酒屋を営んでいました。

42歳の時に開店して、閉店したのが64歳。


22年間も一人でお店を切り盛りしていた祖母を尊敬しています。

そして、42歳で新たな境地に踏み出した祖母を誇りに思います。

(それまでは、服飾の仕事や、弁当屋のパートなどをしていたらしい)


お店は、一階のカウンター席(10席)と、

中二階の座敷には4~6人掛けのテーブル5台くらい。

そして、宴会が入ると、ニ階も開放していたので、

1人で切り盛りするには、かなり広い。


毎週水曜日と宴会のときだけ、近所の主婦の方にパートに来てもらって

あとは本当にずっと一人でお店を切り盛りしていたみたい。

私も小さいころ、祖母の家に泊まりに行くと、

時々ホールのお手伝い(邪魔?)をしたりして、

お客さんからオヒネリを貰ってました(笑)


祖母はいつもカウンターの中にいて、

お座敷のお客さんの飲み物や食事は、深い時間になってくると、

手前まで取りに来てもらうスタイル(笑)

カウンターの中では、よくお客さんと話しながら、調理してたかな。


店内は祖母の趣味で集めた【ご当地提灯】と【ペナント】が貼られていて

その隙間にメニューの短冊が貼られており、

店の外には大きな赤提灯がぶら下がっていて、

お店の名前がデカデカと書かれた暖簾がハタハタとゆれていて。


今思えば、いかにも!な、THE昭和の赤提灯!って感じですよね。


いつも酔っ払いのお客さんの大きな笑い声が聞こえていて、

煙草くさくて、お酒くさくて、うるさくて。

母や妹は、その雰囲気が嫌いと言っていたけど、

わたしは、その雰囲気が大好きでした。

もしかすると、当時から酔っ払いの扱いには慣れていたのかもしれません。(笑)


祖母は常連さんたちと、

春には花見、冬には旅行(主に北海道)、

富士山にも2回ほど登ったらしいです(笑)

どんだけ仲良しなんでしょうか・・・

お客さんに愛されてるのが伝わってくるエピソードばっかり。


そして、私が高校進学したときも、

その時にまだお付き合いのあった常連さん達から万年筆を頂いたんです。

(きっと小さい頃から見てくれていたので、ある種の父親感があるのでしょうね。本当に有難いことです。)


いつしか、私もお酒を呑むようになり、

お洒落なバーよりも、大衆酒場や赤提灯が好きになり、

特に『名物ママ』がいるお店は、とても好きです。

そんなお店に行く度に、

あぁ…ばあちゃんの店で呑みたかったなぁ…

って思います。


そんな祖母、、、今もめちゃめちゃ元気で、

最近LINEを始めて、全部ひらがなでメッセージを送ってきます(笑)

好きなテレビは『イッテQ』と『ロンドンハーツ』と『アメトーーク』。

ちょっと好みが若すぎませんか(笑)

さすが、22年間、毎日お客さんを沸かせていただけある。。。

(酔っぱらうと、入れ歯を取り出して、孫たちを引かせる謎の癖もあるし(笑))


今年はコロナの影響もあって、

全然会いに行けていません。

それまでは、ほぼ毎年、年末or年始に祖母の家で大宴会をしていました。

今年は年末も行けないかなぁ。

でも、大好きなばあちゃんと一緒に呑むお酒は、

誰と呑むより美味しいです。そして、心が温かくなる。


いつまでも元気でいて欲しい、大好きな祖母。

いつか夢の中でもいいから、あの店で、ばあちゃんと一緒に呑みたい。

カウンター越しに話したい。

常連さんと話したい。

叶わないけど、それが私にとっての『ここで飲むしあわせ』です。


#ここで飲むしあわせ

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