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京都祇園の着物の世界に魅入られて

 着物のことは、ほとんど知識がなかったのですが、拙著「京都祇園もも吉庵のあまから帖」を執筆する際に、主人公もも吉のモデルのお茶屋「吉うた」のお母さん(女将のこと)からご教授賜り、少しずつ学んで行きました。
 
 小説では、こんな具合に教えていただいた着物の描写をしています。
 
 例えば、1巻では、
「着物は、薄い水色地に桜の花びらの小紋。これに合わせて赤味がかった臙脂の染帯、そして薄い桃色の帯締めが目に映える。」
 
「焦げ茶色の地にとんぼ柄をあしらった絽の着物。白帯に水色の帯締めをしている。この蒸し暑い季節でも、涼しげだ。」
 
「小豆色の地に、この時期に合わせた楓の刺繍をあしらった着物。それに銀色の遠山柄の帯。帯締めは濃い紫だ。」
 
「まるで雪が黒地に舞うような柄のろうけつ染めの着物。帯は白のつづれ。それに真っ赤な帯締めが、雪中の南天を思わせる」
 
というような具合です。
 
「小紋」も「「絽」、そして「つづれ」も、文字で説明することは至難です。
でも、着物にまったくの素人でも、
「雪が黒地に舞う」
「白のつづれ。それに真っ赤な帯締め」
という、色合いを想像するだけで、その姿が浮かび上がってくるから不思議です。
 
さて、着物のことがわからない私でも、
「あっ!ステキ!」
と声を上げることがあります。
 
その帯の写真がコレです。
 
なんと図柄は「猫に小判」。
 
舞妓さんも、
「うち、この帯大好きなんどす」
と、自慢げに後ろを向いてポーズを取ってくれました。
 
ザックザックと金運が巡ってくるようで、
思わず手を合わせて祈ってしまいました。

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