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全予約制カフェ~光と影を楽しむ贅沢なひととき

 25年ほど前のこと。
 大学時代の友人と、ふらりと立ち寄ったのが、吉田山荘でした。
 お昼時、ガイドブックを見て、「今から伺ってもよろしいでしょうか」と電話をしたところ、ほんの少し間を置いて、「どうぞお越しやす」という返事。
 今と違って、スマホなどない時代。
 どんなところか、あまりよくわからないまま訪ねました。

 すると・・・。
 玄関の前で、入るのを臆してしまうほど雅、かつ荘厳な雰囲気が漂っていました。
 食事の際に、女将さんがわざわざご挨拶に来て下さり、説明をして下さいました。
 昭和7年、昭和天皇の義弟である東伏見宮邦英王が、京都大学に入学される際、別邸として建てられ、ここから大学に通われたとのこと。
 二階の洋風の間からは、大文字が正面に見えるという素晴らしいロケーションです。

 そして、東伏見宮様の車夫(運転手)が住んでいた建物を改築して、喫茶店としたのが「カフェ真古館」です。

 この二階の窓から眺める景色は、眺望をウリとする絶景ではありません。
 窓から見えるのは、
「光」と「影」です。
 建物を取り囲むようにして植えられているモミジが、
 「カフェ真古館」の一つひとつの窓から、まるで影絵のようにして映し出されているのです。

新緑の季節に撮った一枚が、「コレ」です。
 コーヒーなんて、どこで飲んでも同じだ・・・などと言う人はいないと思います。そう、どんな空間で飲むかで、心に沁みる味わいが変わります。
 贅沢なひとときを過ごすのに、これほどの「場」を知りません。

以前は、席が空いてさえいれば、気軽に立ち寄ることができましたが、
現在は、完全予約制になっています。
 


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