見出し画像

「わかる」の体感

漫画を持ち込みにいくと、さまざまな編集さんに出会い、さまざまなことを言われます。
編集さんは自らの経験をもとにアドバイスをくれるわけですが、もらったアドバイスが自分でいまいち「わからない/わかってない」ときがあります。
あれって、なぜ起こるんでしょうね?(;'∀')
言われたことが「わかった」ら、次回には完璧な作品を持って再度持ち込みに行けるはずなのに、なぜ次も同じような指摘を受けちゃうんでしょうね?
「わかったらできるはずなのに、どうしてできないんだろう」をぐるぐる繰り返した結果、「わかる」を体感するってどういうことかをわたしなりに記事にまとめてみました。

◆「頭でわかる」と「体感でわかる」の違い

2019年、某漫画雑誌で賞に入り、担当編集さんがつきました。
読み切りの掲載を目指してネームを切っていました。
ところが、何度直しても通りません。

担「この漫画のおもしろいところって何ですか?」
私「こういうところです!」
担「ではそれがわかるように修正しましょう」
私「じゃあここをこんなふうに修正するのはどうですかね」
担「いいと思いますよ、それ描いてみてください」
私(よし!担当さんとコンセンサス取れたぞ!)

私「修正しました!」
担「うーんあまり良くなってないですね」
私「じゃあ今度はここをこんなふうに修正するのは」
担「なるほど、それ描いてみてください」
私(よし!担当さんとコンセンサス取れたぞ!)

私「修正しました!!」
担「違うんですよね」

エンドレス… (›´ω`‹ )ゲッソリ

言いたいことは言えていたし、担当さんとのコミュニケーションは比較的良好だった。おまけに電話での打ち合わせでは毎回コンセンサス取れて終わってたはずなのに……いったいなぜ???( ˘•ω•˘ )
この、「コンセンサス取れてた」という部分が「頭でわかる」ということ。
担当さんが何を言ってるかわかる。
どんな画面を描けばいいかもわかる。

でも直しても良くならなかったということは、「体感としてわかってない」ということなんだと思います。

以前『読切漫画の作り方を学んだ話』という記事を書きました。
実はこのとき、雑誌は異なりますが2019年に受賞した出版社と同じ出版社に持ち込んだのです。
2019年の時点ではなんの実績もなかったわたしだけど、2021年から連載実績、2022年には単行本化実績がある!いけるはず!と思ってました。

ところが…
またしても2019年と同じことが起こったのです…!(;゚ω゚)
ネームを出すも、担当さんから返って来る言葉は「作者が透けて見えてます」か「主人公に感情移入できません」の2種類。

32ページ漫画3作描いてすべてボツ。
さすがに落ち込みましたし焦りました。

2019年からわたしはなにも変わってなかったのか?
進歩したつもりだったけど、わたしの勘違いだったのか?
でも、なんとなく感じる、おそらくここが正念場だ。
この問題を解決しないと、わたしの漫画は良くならない。
次のステージに行けない。
まずは、この正体のつかめない壁をしっかり見極めないと!!
(๑و•̀ω•́)و

で、これまでのことも踏まえて分析してみることにしました。
2019年の担当さんとのやり取りは、主にわたしの頭から出力した漫画についての議論でした。(当然ですが。)

漫画についてあーでもないこーでもないする。

でも2022年担当さんとの似たようなやり取りが発生して、なんとなく、問題は出力した漫画ではないのではないか?と思うようになりました。
2019年時点で、どんなに漫画を修正しても良くならなかったので、今回もおそらく漫画の画面やセリフを直しても良くはならないだろうと思いました。

漫画をいじくっても解決しないなら、ここに原因はないのかも。

だとしたら…
原因は漫画を出力する以前の手順にある。

なんと予想は的中!!!Σ(OωO )
わたしは「キャラ創り」といわれる部分がすっぽ抜けてたのでした…!
そりゃあ小手先の画面やセリフ直しただけじゃ漫画が良くならないの当然だよね…_(:3 」∠)チーン
※キャラ創りについては『読切漫画の作り方を学んだ話』をご参照ください。

そこで、しっかりキャラをつめてから漫画を描いたところ…
ネームが通りました!!
゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚
ようやく…!!
苦節3年、2019年から引きずっていた致命的な問題がやっとわかって、本当にスッキリしました!!!

このスッキリした感覚を味わってから、以前ボツったネームを見ると、あのとき担当さんが何を伝えようとしていたのか、その言葉の意味が本当によくわかりました。
これが、「わかる」を体感するということだと感じました。

◆言われたことがすぐにできない=「わかる」を体感してないから

子どもが親に怒られるとき、「宿題すぐやりなさいって言ったでしょ!どうして言われたことがすぐにできないの!」って言われたりします。
あるいは、自己変革を目指してたくさんの啓蒙セミナーに出席したり自己啓発本を山のように読んでいるにもかかわらず、なかなかすぐにそのとおりにはできなかったりします。

それは「頭で」わかっても、「体感として」わかってないから。

他人から聞いたくらいでなんでもできるようになったら、世の中こんなちょろいことありません。
他人からどんなに素晴らしいアドバイスをもらっても、それを「体感として」理解できなければ、そのアドバイスはただの言葉の羅列なのです。

では体感としてわかるためにどうしたらいいか。

自分の課題と正しく向き合うことです。
正しくというのがミソなんですが、いたずらに自分を情けなく思ったり、自信を失う必要はありません。
自分自身が悪いとかではなく、行動や思考や創作過程に課題が隠れているだけなのですから。
もしかしたら、すぐには課題が見つけられないかもしれません。
でも課題を探し当てない限りは、「わかる」は訪れません。
休み休みでもいいから、自分を振り返って分析して課題を探り続けること。
なぜなのか、どうしてなのかを問い続けること。
じっくり時間をかけて探せば、きっと課題を発見できて、その瞬間「わかる」が訪れます。

…とか偉そうなことを書きましたが、きっとまだ体感的にわかってない課題がいくつもわたしの中にあるんだろうなと思います。(;'∀')
自分で気付いてすらいないかも。

でも、ぐるぐるしたあとのスポッと抜けるこの感じ。
喉に引っかかってた魚の小骨が取れたあとのスッキリした感じ。
細く狭い路地を彷徨った先にひらけた景色を見つけたあの感じ。
きっとみなさんいろんな場面で体感しているはず。
この体感って、人生においてレベルアップした瞬間だとわたしは思ってます。

2023年もこのアハ体験をたくさん経験して、できなかったことをひとつひとつできるようにしていきたいと思います!(*^-^*)/イエイ☆

わたしの好きを詰め込んだマンガですが、届いてくれることを願って。応援いただけると本当に嬉しいです。